2019 Fiscal Year Research-status Report
上皮-免疫細胞間の接着を中心とする腸管恒常性維持機構の解明
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18K07184
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
内藤 拓 東邦大学, 医学部, 准教授 (10568728)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IEL / ホーミング / T細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
<Eedによる IEL の制御機構と、その腸管恒常性維持への寄与の解明> T細胞特異的Eed欠損マウスでは腸管恒常性の異常が見られる。昨年度はCD4-Creを用いたEed欠損CD4+ T細胞では、Rag2欠損マウスへと養子移入した場合に野生型CD4+ T細胞と比較して、IEL分画へのホーミングが極端に減少することを見出した。本年度はCre組換えタンパク質の発現により組換えが起きるとtdTomatoが発現するレポーターを用いて、IELにおけるEedの欠損状況について検討を行った。脾臓やリンパ節においては、CD4-Creによりほぼ全てのT細胞においてEedは欠損していた。しかしIEL分画ではCD4+ CD8-の集団において、Eed欠損の効率が半分以下に低下していることを見出した。興味深いことにCD4- CD8+の集団では80%以上の細胞でEed欠損が起きていたことから、Eed欠損がCD4+ IEL特異的に影響を及ぼすことが強く示唆された。CD4+ IELにおけるEed欠損効率の見かけ上の低下が、Eed欠損による細胞死の亢進によるものであるか検討するために、Bcl2導入遺伝子の存在下で同様の実験を行った。しかしBcl2の過剰発現によってもCD4+ IELにおけるEed欠損効率の低下はレスキューされなかった。このことからEedがCD4+ IELの生存ではなく、分化もしくはホーミングに効いている可能性が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
<DP-IEL分化制御におけるインテグリン-Eed axisの役割の解明> Eed欠損によりin vivoでもDP-IEL分化が促進されるという予備的結果を得ている。しかし代表者の用いているマウスコロニーではDP-IELの割合が非常に低く、有意差を検出できるに至っていない。L.reuteriによりDP-IELの分化が促進するとの報告があるためマウスにL.reuteriを投与することも行ったが、改善は見られなかった。
<IEL 機能解析のための新規遺伝子変異系の構築> IELの上皮細胞間局在という性質を利用して、IEL特異的に細胞操作を行える系の確立を目指している。H30年度では、細胞間接着依存的に細胞死を誘導する系、およびCre組換え遺伝子を活性化する系のDNAコンストラクトを構築した。本年度はこれを細胞株に導入して発現させ、系の検証を行うことを目指した。しかし、安定して系を発現する遺伝子導入株を樹立することができず、系を検証するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
<Eedによる IEL の制御機構と、その腸管恒常性維持への寄与の解明> Rag2への養子移入の系を用いて、Eed欠損CD4+とCD8+ IELのホーミングあるいは維持の違いについて検討を行う予定である。 <DP-IEL分化制御におけるインテグリン-Eed axisの役割の解明> 代表者の保持するマウス系統の中に、DP-IEL分化が高頻度に見られるものを見出した。これをEed欠損と掛け合わせることで、効率よくEedのDP-IEL分化への影響を検討できることが期待される。 <IEL 機能解析のための新規遺伝子変異系の構築> 今後用いる細胞株を変える、遺伝子導入株の選択方法を変更する、などを通して、系の検証を目指す。
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Causes of Carryover |
予算は概ね計画通りに執行したが、若干のズレにより僅かながら残額が生じた。当初の研究計画目標を達成すべく本年度の研究を遂行し、残額も含め予定通りに使用する予定である。
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