2021 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷修復能による小細胞肺癌に対する個別化医療の確立
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18K07197
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
牧野 晴彦 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (20467707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 直樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (40750336)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小細胞肺がん / DNA-PKcs |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で小細胞肺癌細胞株において、DNA損傷修復因子であるDNA-PKcs・PARPに着目し、それぞれの因子の阻害剤による抗腫瘍効果を検討し、in-vitroではアポトーシスの誘導を伴う抗腫瘍効果をもたらすことが証明されている。また、DNA損傷に伴い動員されるATMによりULBP2発現が促されPARP等とも密接に関連することが示唆されている。 非小細胞肺癌やその他の癌腫では腫瘍免疫において重要な役割を担うsoluble ULBP2放出による治療抵抗性も考えられており、小細胞肺がんにおいてもDNA損傷による抗腫瘍効果の減弱が既知のDNA損傷修復経路だけでなく、腫瘍免疫を介した経路で治療抵抗性をもたらしているのではないかと考え、小細胞肺がん細胞株にてその検討を行った。 小細胞癌細胞株に対して放射線照射することで細胞株自体にULBP2発現が増強したことを確認したが、soluble ULBP2の放出は増加せず、小細胞癌患者における血清中soluble ULBP2も予後には影響していなかったため、放射線照射によるDNA損傷(特に直接的で強力なDNAの二本鎖損傷(DSB:double-strand-break)に対して起こりうる治療抵抗性はsoluble ULBP2を介したものではないことが示唆された。 DNA損傷には一本鎖損傷(SSB:single-strand-break)と二本鎖損傷(DSB)があるが、PARP阻害により一本鎖損傷が二本鎖損傷に発展し細胞死が誘導されることが明らかにされている。今後はどのようなDNA損傷がULBP2を介した癌免疫による治療抵抗性を誘導する可能性があるのか、それぞれの阻害薬はULBP2の発現に寄与するのかも併せて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
基礎的実験を行う時間が十分に確保できず遅れていたが、次年度中に完了できるように体制を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
PARP、DNA-PKcsに絞り新たな治療ターゲットとなるかマウスxenograftモデルも使用し検証していく。
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Causes of Carryover |
基礎的実験を予定通り行うのに、十分な時間が確保できず計画が進まなかった。
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