2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07199
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
北川 孝雄 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教(特命) (20614928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 令江 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (80253722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ユーイング肉腫 / 質量分析 / BioID |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーイング肉腫は小児の骨及び軟部組織に発生する腫瘍であり、染色体の相互転座による転写活性化部位を持つRNA結合遺伝子EWSR1とDNA結合部位を持つ転写因子FLI1、ERG、E1AFの組合せ(EWS-FLI1、EWS-ERG、EWS-E1AF)によって引き起こされる。しかし、融合遺伝子ががん化を引き起こす分子メカニズムは未だに不明である。研究代表者はユーイング肉腫のがん遺伝子である転写因子EWS-FLI1を標的とした分子標的治療の基礎的知見のため、EWS-FLI1と結合するタンパク質をBioID法で同定し、本研究では、新規に同定される相互作用タンパク質によるEWS-FLI1の腫瘍制御機構の解明を目的とする。さらにiPS細胞からユーイング肉腫を再現し、EWS-FLI1新規相互作用タンパク質および既知阻害剤に対する腫瘍抑制効果の検討を行うことを目指している。 まず、BioID法をtet-on-piggybacシステムで解析するための方法論の開発及びスクリーニングを行った。tet-on-piggybacシステムでユーイング肉腫細胞株のゲノムへの導入を確立し、精製法も確立した。そこで、3種類のユーイング肉腫癌遺伝子であるEWS-FLI1、EWS-ERG、EWS-E1AF及びネガティブコントロールとして、BioID、BioID-Luc2をtet-onで発現する株を作製した。ドキシサイクリンによる転写誘導及びビオチンによる細胞内タンパク質のビオチン化を行い、共同研究者に質量分析解析を依頼した。その結果、ユーイング肉腫癌遺伝子3種類で特異的に同定された候補タンパク質が164種類同定した。現在、プルダウン実験により、再現性の検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニングシステムの立ち上げに時間を要したが、順調に質量分析で解析することが令和元年度までにできた。既知の相互作用が知られているタンパク質が含まれていたこと、また、新規のタンパク質も多数含まれていたことから、pull-down実験による再現性の確認およびノックダウン、過剰発現による形質の確認を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
レンチウイルスによるノックダウンの系を立ち上げることができた。またiPS細胞の分化誘導系を立ち上げつつあったが、転勤により実験の立ち上げを再度行う必要が出てきたために、計画が遅れる可能性がある。
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