2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of p53 negative regulation by novel oncogene GRWD1
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18K07201
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉本 のぞみ 九州大学, 薬学研究院, 助教 (00633108)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GRWD1 / p53 / RPS17 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
GRWD1はがん抑制性リボソーム因子RPL11あるいはRPL23と結合して機能を抑制し、その結果、腫瘍抑制因子p53を抑制し、がん遺伝子として機能する。本研究は、質量分析法によってGRWD1結合が同定されたRPS17に着目し、そのがんとの関わりを明らかにすることを目的としている。RPS17は、高発がん性を伴うリボソーム病であるダイアモンドブラックファン貧血 (DBA) で変異が認められる因子であるが、RPS17ががん抑制活性を持つかは全く不明である。 そこでRPS17ががん抑制活性を有するのかを調べるため、in vitro多段階発がんモデル (HFF2/T/E7/KRAS細胞) において、RPS17を発現抑制したところ、大型のコロニー形成が認められた。また、同細胞をsiRNAで処理し、その後アクチノマイシンD処理によって核小体ストレスを与え、p53とその下流因子であるp21の誘導量を調査した。その結果、RPS17の発現抑制によりp53およびp21が過剰誘導された。以上の結果から、RPS17はp53量およびp21量非依存的にがん抑制活性を示すことが示唆された。次にRPS17結合因子の網羅的探索を行ったところ、因子Xが同定された。因子Xは、リボソーム生合成、中心体複製、細胞周期、アポトーシスなどに関わる多機能因子であり、腫瘍増殖に対して促進的な役割と抑制的な役割の両方が報告されている。RPS17の部位欠失変異体を用いた免疫沈降実験の結果、RPS17のN末端領域が因子Xとの結合に重要であることが示唆された。さらに、両因子の精製タンパク質を用いたin vitroでの結合試験の結果、RPS17と因子Xは直接結合せず、別の因子を介して結合する可能性が示唆された。今後は、因子Xと結合できないRPS17変異体はがん抑制活性が失われるのか、また、CRISPR-Cas9のシステムを利用し、RPS17の1アレル欠損によって造腫瘍能を獲得するのかも調べたい。
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