2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative analysis of tumorigenesis by HTLV-1 and BLV
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18K07203
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
谷 千賀子 宮崎大学, 医学部, 研究員 (60817047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 和広 宮崎大学, 医学部, 教授 (80260321)
中畑 新吾 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80437938)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | BLV / EBL / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1と近縁の牛感染症であるBLVは届出伝染病の一つであるB細胞性リンパ腫(地方病型牛白血病: EBL)の原因ウイルスである。国内では、その感染率は約35%にも及び、この感染症による被害額は数兆円と推定される。EBLの病態解明の促進には、EBL細胞に特異的なマーカーの単離は必須である。BLV感染B細胞の表面抗原としてIgMやCD5/B細胞マーカーが用いられているが、現在の診断法ではEBL細胞を正常B細胞と分離することができない。このため病態解析や病理診断には大きな問題があると懸念される。我々は、これまでに宮崎県内の食肉衛生検査所や畜産農家の協力の下、牛白血病検体、BLV感染牛の検体を収集し、網羅的遺伝子発現解析を実施した。その結果、新規表面抗原として膜タンパク質を同定した。この膜タンパク質はBLV感染牛、持続性リンパ球増多症(PL)発症牛で発現がほとんどなく、EBL発症牛で50倍以上発現増加することを見出した。診断系開発として、同定した膜タンパク質に対する特異抗体を作製し、EBL発症牛の腫瘍組織を用いて免疫組織染色を検討した。その結果、解析した全ての検体において、EBL細胞に強い反応が見られることを同定した。以上、同定したバイオマーカーは、牛白血病の診断精度を向上させBLV感染制御の効率化を実現するものと期待される。また、この膜タンパク質は、全てのEBL発症牛の腫瘍細胞で高発現していることから、BLVによるBリンパ腫発症機構において重要な役割を持つ可能性が推測される。さらに、この膜タンパク質は、ヒトで創薬のターゲットとして注目されており、Bリンパ腫における高発現の意義の究明もまた重要な課題となる。
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