2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18K07206
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 清敏 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (50401386)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大腸がん / DNAメチル化 / メチローム / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物において、遺伝子発現はDNAのメチル化によって制御されている。DNAメチル化酵素DNMT3AおよびDNMT3Bは新規のメチル化を引き起こし、DNMT1はDNA複製の際にメチル化を維持することが知られている。また、ヒト細胞は癌化により様々な代謝の変化を引き起こすことが知られている。しかし、 DNMTファミリーによる癌の代謝の制御機構は未解明のままである。研究代表者らは、大腸癌の初期のステージから、DNA脱メチル化酵素を阻害する代謝物質2-HGとメチル基供与体SAM(S-アデノシルメチオニン)が蓄積し、DNAメチル化酵素DNMT1とDNMT3Bの発現が増加し、様々な遺伝子のDNAメチル化が変化していることを見出している。本研究では、DNAメチル化の異常がどのように癌特有の代謝を引き起こしているのかを明らかにすることを目的とした。まず、ヒト大腸癌細胞HCT116、DNMT1欠失HCT116、DNMT3B欠失HCT116、DNMT1/3B欠失HCT116を用いてメタボローム解析を行なったところ、DNMT1/3B欠失細胞においてポリアミン類が減少していることが明らかとなった。この結果と一致して、マイクロアレイ解析ではDNMT1/3B欠失HCT116においてポリアミン合成酵素の発現が減少していた。一方、大腸癌組織では、ポリアミン合成酵素群の発現が増加し、ポリアミン類が蓄積していた。以上の結果より、大腸癌ではDNAのメチル化の変化を介してポリアミン合成酵素群の発現が増加し、ポリアミン類が蓄積していることが示唆された。今後、ポリアミン合成経路が大腸癌の診断と治療の標的となり得ると期待される。
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Research Products
(3 results)