2018 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答性エピジェネティクスの制御機構と低酸素性乳癌の悪性化の分子機構の解明
Project/Area Number |
18K07225
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
與那城 亮 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (60453809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素 / エピジェネティクス / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素応答は恒常性の維持に重要な機構だが、癌の微小環境もしばしば低酸素であり、 その生存、悪性化にも働いていることが知られている。乳癌の約4割は低酸素状態と報告されており、それが悪性化に関与している可能性が考えられる。加えて悪性の乳癌では高頻度でDNAのメチル化異常が報告されている。しかしながら乳癌の低酸素による悪性化とDNAメチル化異常の関係は明らかにされていない。 申請者は、エピジェネティック制御に働くDNA脱メチル化酵素の一つ、TET2が、48h以上の長期の低酸素暴露で カスパーゼ依存的に分解されることを乳癌細胞で見出した。また、TET2ノックダウン乳癌細胞をヌードマウスへ移植したところ、コントロールと比較して有意な腫瘍の増大が観察された。これはTET2が乳癌細胞において、癌の悪性化に抑制的に働くことが示唆された。この結果を踏まえ、TET2が制御する遺伝子探索を実施した。公共データベースを利用してTET2が結合するDNA領域を探索し、次にTET2ノックダウン細胞を用いてRNA-seqを実施し、コントロールと比較して増減している遺伝子を同定した。これらの結果から、TET2が制御している可能性のある遺伝子候補とこれまで癌に関与されている遺伝子とを照らし合わせ、乳癌の悪性化に関与する遺伝子候補を見出すことが出来た。今後は同定したTET2制御遺伝子候補が、実際に乳癌の悪性化に関与するかを調べ、低酸素による癌悪性化とDNAメチル化異常の関係性を明らかにしていく。
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