2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the mechanism underlying secretory leukocyte protease inhibitor (SLPI)-induced malignancy of cancer
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18K07226
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三上 剛和 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80434075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 範久 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30368211)
早津 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40468898)
水谷 祐輔 北海道大学, 総合IR室, 特任准教授 (40646238)
津田 啓方 日本大学, 歯学部, 准教授 (60325470)
福島 敦史 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80415281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SLPI / 細胞移動能 / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
Secretory leukocyte protease inhibitor (SLPI) は,白血球が生産する過剰なプロテアーゼから正常な組織を保護する炎症制御因子である。しかし,その機能は多岐にわたり,がん病態の悪性化に関与することが報告されている。そこで本研究では,SLPI遺伝子欠損細胞や強制発現細胞の網羅的な遺伝子発現解析および各種顕微鏡法等による表現型解析を行い,SLPIの役割とその作用機序の解明を目指す。 これまでに,SLPIはいくつかの細胞接着因子の発現を抑制することによってがん細胞の細胞-細胞間あるいは細胞-細胞外基質間の接着を弛緩させ,その移動能を亢進させることを明らかにした。 本年度は,各種顕微鏡法を用いたSLPI強発現細胞とSLPI欠損細胞の微細構造解析とそれらのマウス移植実験による血管様構造の形成を中心に解析を行った。走査型イオン伝導顕微鏡(SICM)による観察と共焦点レーザー顕微鏡を用いた光褪色後蛍光回復法(FLAP)による解析から,SLPI欠損細胞では,SLPI強発現細胞と比較して,細胞質突起と葉状仮足が退縮しており、動態も鈍化していることが明らかになった。また,SLPI強発現細胞の発達した葉状仮足内では,アクチンフィラメントの重合と脱重合が高頻度に交換(ターンオーバー)されていることも明らかになった。移植実験では,SLPI強発現細胞による血管様構造の形成が確認された一方で,SLPI欠損細胞では血管様構造の形成は確認されなかった。これらの結果から,SLPIは細胞接着を弛緩させると共に,アクチンフィラメントのターンオーバーを亢進させることによって細胞質突起や葉状仮足の動態を活性化させ,細胞移動能を亢進すると考えられる。また,血管様構造の形成にも関与することが実験的に明らかになった。
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Research Products
(5 results)