2018 Fiscal Year Research-status Report
悪性黒色腫におけるがん遺伝子とがん抑制遺伝子からみる表現型の差異
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18K07227
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横山 悟 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (90613498)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫は、色素細胞由来の悪性腫瘍であり、皮膚や眼(ぶどう膜)に発生する。それぞれ発生部位が異なるだけでなく、皮膚悪性黒色腫は肺に転移し、BRAF/NRASをがん遺伝子として、PTENをがん抑制遺伝子として持っている。一方、ぶどう膜悪性黒色腫は肝臓に転移し、GNAQ/GNA11をがん遺伝子として、BAP1をがん抑制遺伝子として持っている。 申請者は最近、皮膚悪性黒色腫の治療標的を同定する目的で、脱ユビキチン化酵素約100種を含むsiRNA libraryを用いたスクリーニングを行ない、興味深い結果を得た。それは「ぶどう膜悪性黒色腫においてがん抑制遺伝子として機能するBAP1」が、皮膚悪性黒色腫においては細胞増殖に必須であるという相反する結果である。 そこで本申請課題では、「なぜ同じ色素細胞由来の腫瘍で、がん遺伝子・がん抑制遺伝子の組み合わせ、転移臓器が異なるのか」という問いを明らかにする。 2018年度は、上記予備実験として行なった脱ユビキチン化酵素のスクリーニングにより同定した2つの遺伝子COPS5・STAMBPが、それぞれ肺がん・悪性黒色腫の転移を抑制する薬剤標的分子として有用であることを明らかにし、報告した。また本課題の目的の達成に向けた研究も、細胞株の樹立・その表現型の同定等、十分に進捗している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の目標であった細胞株の樹立・その増殖能の検討を無事に終えることができたため、順調に進んでいると考えている。 また派生的なテーマとして、脱ユビキチン化酵素が分子標的として有用であることを示す2つの論文を発表することが出来たことも評価できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、樹立した細胞株を用いた表現型の検討や遺伝子発現の差異について更なる検討を行なっていく計画である。
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