2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms of cancer development and progression in obesity.
Project/Area Number |
18K07231
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下野 洋平 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90594630)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳がん / がん幹細胞 / 脂肪細胞 / アディポカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織は、内分泌、代謝、および免疫制御能をもつ複雑な組織である。また、肥満は、子宮内膜がん、乳がんなど各種のがんの発症危険因子である。本研究では脂肪組織ががんの発症および進展に関わる機構を、脂肪細胞が分泌するアディポカインに特に着目して解明することで、肥満ががんの発症危険因子となる分子機構を解明することを目指す。 本年度はアディポカインによるがん細胞制御機構に着目して下記の三点の検討を進めた。 (1)アディプシンによる乳がん幹細胞性制御の分子機構:私たちはこれまでの研究で乳腺脂肪細胞が分泌するアディポカインの一種であるアディプシンが、乳がん細胞のがん幹細胞性の増強に働くことを解明した(Goto H. et al. Oncogene, 2019)。本年度は、shRNAにてアディプシンの発現を抑制した乳腺脂肪細胞で発現が変化する分泌因子を新たに同定した。つぎにそれらの分子に着目して、がん幹細胞性を制御する分子機構や、乳がん患者より採取した乳腺脂肪細胞における発現解析を行った。 (2)脂肪細胞によるがん幹細胞性制御機構:乳腺の脂肪細胞が乳がんの幹細胞性を増強することを踏まえ、本年度はさらに幅広いがん種に解析対象を広げて解析した。腹部脂肪より分離した脂肪組織由来幹細胞が、大腸がん、子宮がん、卵巣がんなど各種のがん細胞のスフェロイド形成能を亢進することを明らかにした。 (3)乳腺脂肪細胞によるがん幹細胞性制御機構:これまでの検討で、アディプシンの他にも乳腺脂肪細胞で発現が上昇している各種のアディポカインを同定している。本年度は、乳腺脂肪細胞が分泌する新たなアディポカインに着目して、shRNAによる発現抑制が、脂肪細胞の形質やがん幹細胞性に及ぼす影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い研究の進捗に遅れが出たが、新たな研究環境で婦人科がん、消化器がんなど各種のがんを対象とした研究が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた乳がんの他に、婦人科がんや消化器がんを対象に加えて、がんの増殖および転移の制御機構、がん患者の脂肪細胞におけるアディポカイン発現量とがん進展との関連の解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者の藤田医科大学への異動に伴い研究の進捗に遅れが出た。次年度使用額は、研究試薬、細胞培養器具、実験動物の購入などのための物品費および研究員の人件費として使用する。
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[Journal Article] 3D Culture Represents Apoptosis Induced by Trastuzumab Better than 2D Monolayer Culture.2018
Author(s)
Tatara T, Mukohara T, Tanaka R, Shimono Y, Funakoshi Y, Imamura Y, Toyoda M, Kiyota N, Hirai M, Kakeji Y, Minami H.
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Journal Title
Anticancer research
Volume: 38
Pages: 2831-2839
Peer Reviewed