2018 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍における GTP 代謝スイッチの分子機構と意義の解明
Project/Area Number |
18K07233
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小藤 智史 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 助教 (00508153)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | GTP / 代謝 / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳腫瘍細胞におけるグアノシン三リン酸(GTP)代謝の役割を明らかにすることを目的としている。我々は悪性度の高い脳腫瘍である神経膠芽腫においてGTPの産生が亢進する一方、同じプリンヌクレオチドであるアデノシン三リン酸の産生は正常細胞と差がないことを見出している。この原因を調べるために10種類の脳腫瘍マウスモデルにおいて遺伝子発現の変化を調べたところ、GTP合成において鍵となる酵素の発現上昇を見出した。この発現上昇は脳腫瘍培養細胞および脳腫瘍患者においても確認された。この代謝酵素の薬理学的阻害は脳腫瘍細胞において急激なGTP量の低下と細胞増殖および腫瘍形成の抑制を引き起こした。 以上のことを詳細に検討するため、本年度はCRISPR/Cas9の技術を用いてこの代謝酵素の遺伝子欠損細胞を作製した。その結果、遺伝子欠損細胞では薬理学的阻害の場合と同様に細胞の増殖の抑制がみられた。さらに安定同位体を用いたグルコースフラックス解析を行ったところ、遺伝子欠損細胞でグルコースからのGTP合成が大きく抑制されていた。この代謝酵素は2つのアイソフォームが存在し、また高い相同性を有することから、両者が機能を補完し合う可能性がある。そこで、2つのアイソフォームの二重欠損細胞を作製したところ、GTP合成がほぼ見られなくなった。我々は代謝酵素の阻害時にリボソーム合成が抑制されることをすでに見出している。今後は、合成されたGTPがリボソーム合成とどのように関わってくるのかについて詳細に検討していく必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遺伝子欠損細胞の樹立及びその解析を進めることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は合成されたグアノシン三リン酸とリボソームの関係について調べる。
|
Causes of Carryover |
大学から提供されたスタートアップ資金があったため。次年度の経費と合わせ細胞培養試薬や遺伝子試薬などの消耗品に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)