2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the molecular mechanism of tumorigenesis by abnormal activity of arginine methyltransferase PRMT5
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18K07238
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
市川 朝永 宮崎大学, 医学部, 助教 (80586230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん / PRMT5 / HSP90 / NDRG2 / synthetic lethality |
Outline of Annual Research Achievements |
NDRG2(N-myc down-regulated gene 2)は多種類のがんで不活化されるがん抑制遺伝子候補である。我々は、NDRG2がphosphataseであるPP2Aと複合体を形成し、PTENを脱リン酸化調節することによって情報伝達系を負に制御することを突き止めた。またNDRG2が多くの腫瘍で発現低下し、高リン酸化PTEN不活化によりPI3K/AKT情報伝達系の異常亢進およびがんの発症進展への関与を明らかにした。NDRG2発現低下はPP2A機能を低下させ、各種細胞内タンパク質群の高リン酸化を含む翻訳後修飾異常を蓄積させ、さまざまな情報伝達系の恒常的活性を引き起こし腫瘍発症に至る。 質量分析計を用いてNDRG2結合およびリン酸化調節を受けるタンパク質としてアルギニンメチル基酵素群であるPRMT5(Protein Arginine methyltransferase 5)を同定した。正常細胞とNDRG2欠損ATL細胞でPRMT5 mRNAおよびタンパク質発現は変化していなかったが、正常細胞では核に、ATL細胞では主として細胞質に局在していた。ATLでは細胞質でシャペロンタンパク質であるHSP90Aと結合してアルギニンメチル化することで、シャペロン活性を亢進させ、がん促進クライアントタンパク質を安定化・活性化させATL発症進展に関与していた。PRMT5発現を低下させるとATL細胞では細胞増殖を抑制し細胞死を誘導するが、NDRG2発現正常細胞ではこのような細胞変化がないことを見いだし、細胞質PRMT5/HSP90が治療標的になることが示唆された。これらの見地を基盤としたPRMT5機構解析は、NDRG2欠損がん・白血病に選択的に効果のある阻害剤開発に繋がる。さらに、標的となるがん種が数多く存在するため適応範囲は非常に広く社会的にも医療的にも貢献ができる。
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Research Products
(6 results)