2018 Fiscal Year Research-status Report
Role of Src family kinases in the Drug Resistance and Progression of Neuroblastoma
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18K07242
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堺 隆一 北里大学, 医学部, 教授 (40215603)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / Srcファミリーキナーゼ / チロシンリン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はまず、これまでのシグナル解析などによって示唆されている神経芽腫におけるSrcファミリー経路の関わりについて調べた。Saracatinib、Dasatinib、Bosutinibの3種類のSrc阻害剤を用いてのWst-1アッセイによりの増殖能(24時間、72時間)とTransWellアッセイによる運動能(24時間)に対する影響を調べたところ、どの阻害剤も10μM以上の高濃度でも増殖能に対する影響が見られなかったのに対し、はるかに低濃度の阻害剤で細胞運動能に対する影響がみられ、特にDasatinib>Saracatinib>Bostinibの順で影響がみられた。使用した阻害剤はどれもATP結合の競合阻害によるものなので、大きな基質特異性への影響は考えにくいが、運動能阻害効果への影響がIC50の差からは説明できなかったので、他のキナーゼとの協調作用も考え現在詳細にチロシンリン酸化の変化を解析している。さらに以下の2つの手法でS神経芽腫に特異的に関わるSrcシグナルについて解析を進めている。 2)Srcファミリー結合タンパク質の同定:NNB-39-nu細胞に、SrcファミリーのSrc、Yes、Fynの全長あるいはN末側のSH3-SH2ドメイン領域をFlagタグをつけた形で発現させ、これらのSrcファミリータンパク質と結合するチロシンリン酸化タンパク質を解析した。トランジェントな発現では発現量の問題で安定した結合タンパク質の検出ができなかったため。現在安定発現株を樹立している。 3)Srcの下流で細胞運動能に深く関与することが知られるp130Cas、Paxillin、Cortactinのノックダウンの影響の解析を行っている。neonを用いたエレクトロポレーションで安定して発現を抑える条件を何とか見出し、細胞運動能に対する影響などを解析し始めている。、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で神経芽腫におけるSrcファミリーの活性化を見出しており、初年度の解析で神経芽腫の運動能にSrcファミリーキナーゼが深くかかわることが示されたので、複数の方法でその特異的な経路を探索中である。予定した方向で順調に研究が進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には順調に進んでいる神経芽腫のSrcシグナル媒介分子の同定と機能解析について、次年度以降も精力的に研究を進める。なお今回の実験では、神経芽腫細胞株について、NB39-nu細胞1種類を用いてほとんどの研究を進めており、ALKが活性化した細胞と活性化していない細胞それぞれ複数について解析する必要がある。またDasatinibが神経芽腫の細胞運動を圧倒的に低濃度でコントロールしていることからAblなど他のキナーゼが他にある可能性が示唆されたが絞り込むことができなかった。これらも今後の課題である。
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Causes of Carryover |
神経芽腫細胞株におけるSrcファミリーの過剰発現とノックダウンの条件検討に予想以上に時間がかかったので、機能解析の一部を次年度に行うことになった。
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