2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel therapeutic approaches based on the elucidation of disease specific metabolism in osteosarcoma
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18K07247
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
清水 孝恒 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (40407101)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 転移巣 / 代謝 / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性間葉系悪性腫瘍である骨肉腫は未だ3割の罹患者で長期生存が得られず、新規治療法の開発が求められている。骨肉腫は腫瘍内に類骨形成(未熟な骨形成)がみられるなど他の腫瘍と異なる特徴がある。このため、腫瘍の悪性化、進展には疾患特異的代謝を必要としている可能性があり、その解明は新規治療標的分子を見出す手がかりと成り得る。そこで、独自に樹立したマウス骨肉腫モデル(AXT細胞)を用いて、特にがん細胞の代謝解明を目的に解析を行った。 まず代謝の全体像をみるため、慶應義塾大学生命科学研究所(曽我朋義教授)との共同研究のもと、in vitro、in vivoのサンプルからメタボローム解析を施行した。がん細胞の悪性化の指標の一つに足場非依存性増殖(非接着条件)がある。AXT細胞を接着、非接着条件で培養したサンプルを比較して結果、非接着条件では接着条件に比較して解糖系をはじめとした代謝全般の低下がみられた。次に、AXT細胞をC57BL/6マウスに皮下移植し、形成した原発巣、肺転移巣のサンプルを用いたメタボローム解析では、解糖系、核酸合成経路ともに亢進しており、in vitroにおける接着条件に近いprofileであることが明らかとなった。また、網羅的遺伝子発現解析の結果から、非接着条件ではある転写因子の下流分子の発現が亢進していた。そこで、CRISPR-CAS9のシステムを用いて転写因子、及び下流分子のノックアウト細胞を作成したところ、腫瘍形成能、転移能の低下が認められた。 同時並行で施行している化合物スクリーニングの結果、接着条件に比較し、非接着条件で有意に増殖を抑制する化合物数種が見いだされた。現在、in vivoの効果検証と、化合物の作用機序として、細胞内代謝への関与を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨肉腫モデルより採取したin vitro、in vivoのサンプルからメタボローム解析、網羅的遺伝子発現を施行し、in vivoで腫瘍の進展に関わる可能性のある代謝経路、分子の候補が抽出されてきている。また、化合物スクリーニングからも代謝に関与し、腫瘍進展を抑制する可能性がある化合物候補が抽出されてきている。一方で、骨肉腫克服の鍵となる転移巣における特異的代謝の解明が未だ不十分である。即ち、原発巣と転移巣の代謝の違いが未だ明確でないため、代謝酵素発現とメタボライトの差異を明確にして治療標的分子を今後抽出する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から見出された、足場非依存性増殖、代謝に関わる転写因子とその下流分子のin vivo腫瘍形成、進展における分子的役割を解明する。また引き続き、マルチオミックス解析から見出された候補分子の役割解明と化合物スクリーニングを継続して施行する。 加えて、骨肉腫の治療抵抗性に関わる代謝と分子の解明を目的として、担がんマウスに臨床で使用される化学療法と抽出された化合物を用いて治療実験を行い、未治療群と比較する。特徴的なメタボライト、代謝酵素、分子を抽出しin vitro、in vivoの解析をへて、治療抵抗性への関与を解明する。 化合物スクリーニングからのアプローチとしては、治療抵抗性を解除する化合物を取得するため、化合物ライブラリー(文部科学省新学術領域研究、分子プロファイリング支援活動より提供)を用いて、骨肉腫細胞選択的に増殖を抑制、もしくは細胞死を誘導する化合物を取得する。この際、マルチオミックス解析から得られる分子情報を参考に、in vivoで転移巣に効果を示す化合物を抽出する。増殖因子、サイトカイン、転移関連matrixを培養に付加して生体内をin vitroで模倣した系で、スクリーニングを継続する。さらに、実臨床で使用される抗がん薬を添加し、相乗効果を示す化合物を抽出する。
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[Journal Article] Activation of ventral tegmental area dopaminergic neurons reverses pathological allodynia resulting from nerve injury or bone cancer2018
Author(s)
2.Watanabe M, Narita M, Hamada Y, Yamashita A, Tamura H, Ikegami D, Kondo T, Shinzato T, Shimizu T, Fukuchi Y, Muto A, Okano H, Yamanaka A, Tawfik VL, Kuzumaki N, Navratilova E, Porreca F, Narita M
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Journal Title
Molecular Pain
Volume: 14
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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