2022 Fiscal Year Research-status Report
ACLYトランスジェニックマウスにおける腸内細菌叢変化および発がん機序の研究
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18K07251
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
神田 浩明 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 病理診断科, 科長(兼)診療部長 (90260067)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ACLY / リンパ腫 / 白血病 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ATPクエン酸リアーゼ(ACLY)は、肺がんなどの多種のヒトがんで高発現が認められ、基礎的には未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)の発生に関連するとの報告がある(Basappa J.らbioRxivoi.org/10.1101/2020.01.20.910752)。さらに、抗肥満薬としてACLYの阻害剤が開発されていることから、がん分子標的のターゲットとして期待されている。この蛋白の機能を解析するために、全身でACLYを発現するトランスジェニックマウス(Tg)を作成し、自発腫瘍の形成を観察した。当初、C57BLを背景として観察すると、血球系腫瘍(LL)が高頻度(58%)に発生した。しかし、コントロール (C)にもLLの発生が認められた。C57BLはLLを多発するコロニーもあるため、LLに耐性のC3Hにバッククロスを行い、バッククロスに用いたものと同じコロニーのC3HをCとしてTg 380匹、C 49匹を無処置で18月の観察を行った。Tgは54%に腫瘍が発生し、C(16%)に比して有意に腫瘍発生の頻度が高かった。発生した癌腫はC3Hが感受性のある肝がん(29%)が最も多く、次いでLL(18%)が高頻度に発生した。肝がんの発生ではCとの間に有意差は見られなかった。CにLLは発生しなかった。ACLY Tgは腫瘍全体の感受性が増大するとともに、特にLLの発生に関与していることが示唆された。これは上記の報告と合致する。しかし、LLの多くはALCLの組織像と異なることから、現在、Tgに発生したリンパ腫の性状を解析している。 C57BLを用いた当初実験でCにLLが発生したが、施設を移動し、注意深くマウスを飼育することによりC57BLでもCにLLは発生しなくなった。この説明として発がん機序に腸内細菌叢の関与を疑っており、現在経時的にマウスの糞便を採取、凍結保存してその解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者が施設を移動し、マウスの移動等に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスに発生したリンパ腫・白血病からTissue microarray (TMA)を作成し、免疫染色を行ってT細胞性かB細胞性か、未分化大細胞リンパ腫との関連はあるか、解析を行っている。 また、経時的にマウスの糞便を凍結保存してあり、腸内細菌叢を調べて発がんと腸内細菌叢の関連についての解析を行う。
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Causes of Carryover |
Tissue microarrayを作成して免疫染色などによりマウスに発生したリンパ腫・白血病の性状を調べるとともに経時的に凍結保存した糞便を用いて発がんと腸内細菌叢の関連についての解析を行う。
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