2018 Fiscal Year Research-status Report
がん悪性化におけるエクソソーム膜上の糖鎖機能の解明
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18K07253
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小坂 展慶 東京医科大学, 医学部, 兼任准教授 (60624856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外に分泌される小胞のエクソソームは、近年の研究によりその生物学的な重要性が認識されてきた。特にがん細胞由来のエクソソームは、がん細胞の微小環境や転移予定の臓器に作用し、がん細胞の生存・転移を促進している。そのため、エクソソームによるがん悪性化機構の理解は、がんの新たな診断・治療につながる。エクソソーム内には蛋白質や核酸が、エクソソーム膜上には膜蛋白質や糖鎖が存在し、がんの悪性化に応じて、これらの分子の種類も変化しエクソソームの機能に貢献することが知られている。エクソソーム膜上の糖鎖修飾も同様に変化するが、がん悪性化におけるがん細胞由来のエクソソーム膜上の糖鎖の機能は充分に理解されていない。本研究では、がんの悪性化におけるがん細胞由来のエクソソーム膜上の糖鎖機能の解明を目的とする。 これまでの研究結果により、1)がん細胞から分泌されるエクソソームの糖鎖修飾は分泌する細胞ごとに違っている、2)糖鎖切断をすることによりエクソソームの細胞への取り込みが促進される、ことがわかった。また、糖鎖を切断することにより、もとの細胞に関係なく、エクソソームの取り込みが促進されることもわかった。以上の結果から、がん細胞の性質により変化するエクソソーム膜上の糖鎖は、エクソソームの受容細胞への取り込みに関わることが示唆される。さらに糖鎖修飾に関わる分子がエクソソームの分泌を制御していることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、研究計画に示した内容に加えて新たな糖鎖の機能が出てきたため、研究の展開に違いが生じたが、多くの成果が出てきており、想定した範囲を超えて研究内容が広がっている。また、そのいくつかについて、学会発表(ISEV2019(国際細胞外小胞学会)など)を行うに至った。現在、その一部に関して、論文発表の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、エクソソームにおける糖鎖の機能を、1:細胞への取り込み、2:細胞からの分泌制御、3:エクソソームの安定性、の3点に注目して進める。 まず1に関しては、血管内皮細胞にエクソソームを加える際に、糖鎖修飾があるものとないもので、血管内皮細胞の表現型にどのような変化を起こすかを評価する。3に関しても同様に、エクソソームの全身投与によるエクソソームの体内動態の変化の評価を、動物実験などを用いて証明する予定である。2に関しては同定した分子の詳細を解析する。
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