2019 Fiscal Year Research-status Report
Apc変異腸管腫瘍におけるMyD88経路の役割解明と治療標的の探索
Project/Area Number |
18K07254
|
Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
梶野 リエ 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (20633184)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | Apc変異 / 合成致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、MyD88の機能欠損によるApc変異大腸がん細胞の合成致死誘導のメカニズムに関与する因子や経路を同定し、同定された関連因子や経路の大腸がん予防・治療標的としての有用性について、大腸がん発生初期段階のマウスモデルであるApc変異マウスを用いて明らかにすることを目的としている。 3カ年の研究計画の中で2年目の平成31年度は、前年度行ったTMTプロテオーム解析の結果をもとに、MyD88の機能欠損によるApc変異大腸がん細胞の合成致死誘導のメカニズムに関与する候補因子の探索をパスウェイ解析等により行った。続いて、関与が期待されるいくつかの候補因子について検討を進めた。まず、MyD88F/F;Apc;Villin-CreERT2変異マウスへタモキシフェンを投与することにより、腸管上皮細胞特異的にMyD88の欠失を誘導した。タモキシフェン投与なしの変異マウスと、投与ありの変異マウスの腸管腫瘍組織サンプルにおける標的因子の変動を比較し、MyD88の欠失誘導により候補因子に変動が見られるか検討した。現在のところ、MyD88の欠失誘導によりタンパク量が減少する候補因子が一つ見つかった。また、Apc変異マウスの大腸正常組織と大腸腫瘍組織より作成したオルガノド培養を候補因子の阻害剤で処理し、その生育への影響の検討を進めている。得られた結果については再現性を確認して候補因子を絞り込み、次の研究計画へつなげていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMTプロテオーム解析の結果をもとに、MyD88の機能欠損によるApc変異大腸がん細胞の合成致死誘導のメカニズムに関与する候補因子の探索を行い、それらの候補因子について、オルガノイド培養やマウス腸管組織サンプルを用いた検証を進めている。変更点はあるものの、おおむね当初計画していた研究予定の流れで研究を進められていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
TMTプロテオーム解析の結果得られた候補因子についての検討が進行中なので鋭意進める。主に、マウス腸管組織サンプルやマウス組織由来オルガノイド培養を用いた検討を進めているが、これらに加え、ヒト大腸がん細胞株を用いた検討も行う。これらの実験を通して、候補因子の絞り込みを行う。また、マウスへの阻害剤等の投与による同定因子や経路の治療標的としての評価のための検討もこれらの培養細胞を用いて慎重に行い、最終的にはマウスを用いた個体レベルでの検討を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究計画の一部を変更したため。mRNAの変動をみるためマイクロアレイ解析を予定していたが、費用が高額のため計画を変更し、TMTプロテオーム解析の結果得られた候補因子について、個別にmRNA量を検討する方法に変更した。そのため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)