2018 Fiscal Year Research-status Report
新規膜結合型キメラサイトカインによるNK細胞増幅法の開発
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18K07259
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
今村 勝 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80464006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 千速 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90419284)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NK細胞療法 / 膜結合型サイトカイン / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
NK細胞療法では、腫瘍細胞に対して免疫細胞の比率(ET比)を高くかつ十分な時間維持することが課題になっている。NK細胞の維持には体外及び体内増幅が必要である。申請者らはインターロイキン(IL)15を基盤とした膜結合型キメラサイトカインを開発し、トランス作用(隣接細胞からの刺激)による体外増幅、シス作用(同一細胞による刺激)による体内増幅法を開発したが、最適なサイトカインの種類及び構造に関しては十分に検討されていない。本研究では、新たな膜結合型キメラサイトカインの開発を行い、より効率的なNK細胞増幅を目指す。方法としては、①新規膜結合型サイトカイン遺伝子の作成。②新規遺伝子導入K562による新規feeder cellの作成及びNK細胞の体外増幅。③新規遺伝子導入活性化NK細胞による自己増幅。④キメラ抗原遺伝子受容体を併用した新規NK細胞療法の開発。本研究によって、より安全に高いET比を維持し、より効果的な新規NK細胞療法の確立が可能になると考えられる。 研究計画は以下の順序で進める予定である。①膜結合型サイトカイン遺伝子の新規作成、②新規feeder cellの開発、③新規膜結合型サイトカイン遺伝子導入NK細胞によるNK細胞体内増幅の検討、④新規遺伝子改変NK細胞療法の開発。この内、平成30年度は①の研究が進行している。使用するサイトカインはIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21とする。シグナルペプチド、ヒンジ、膜貫通ドメインとしてflex linker、CD28、4-1BB、IgG4をそれぞれのサイトカイン毎に組み合わせる予定であったが、コンストラクト作成に難渋している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
膜結合型サイトカイン遺伝子の新規作成については、ヒト末梢血単核球からクローニングしたサイトカインcDNAを膜結合型サイトカインとして発現するようにシグナルペプチド、ヒンジ、膜貫通ドメインをSplice by overlap extension PCR (SOE-PCR)を用いてつなぎ合わせる。コントロールは申請者らが開発した膜結合型IL-15とする(Imamura, Imai et al. Blood 2014)。使用するサイトカインはIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21とする。シグナルペプチド、ヒンジ、膜貫通ドメインとしてflex linker、CD28、4-1BB、IgG4をそれぞれのサイトカイン毎に組み合わせる予定であったが、コンストラクト作成に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
膜結合型サイトカイン遺伝子の新規作成を行うが、サイトカインについてはまずはIL-15に絞り、細胞外ドメインを最も短くした新規遺伝子で新規feeder cellの開発をする。作成された新規遺伝子をMSCV-IRES-GFPレトロウイルスベクターのマルチクローニングサイトにサブクローニングする。発現ベクターをK562細胞に発現させフローサイトメトリー法にてサイトカイン蛋白発現を確認する。蛋白発現が確認出来たら、申請者らが開発したNK細胞体外増幅法により末梢血単核球と共培養し、活性化NK細胞の増幅倍率をカウントする。これをコントロールと比較し、優れている細胞外ドメインを用いてサイトカイン毎に比較する。最も優れている膜結合型サイトカインを活性化NK細胞にレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行う。遺伝子導入後、サイトカイン非存在下で培養し、GFPを指標に経時的に自律増殖をカウントする。増殖が最も優れている新規遺伝子を用いて、複数の造血器腫瘍や固形腫瘍細胞株と新規遺伝子導入NK細胞を4時間又は24時間共培養し、活性化マーカーとしてCD25、CD69、細胞障害顆粒発現の評価としてグランザイムB、パーフォリン、CD107aの発現をフローサイトメトリー法で評価する。細胞障害活性の評価として、カルセインなどの蛍光色素で標識した腫瘍細胞株と新規遺伝子導入NK細胞を異なるET比で4時間共培養する。残存腫瘍細胞をフローサイトメトリー法で検出し、殺腫瘍能を測定する。更に、既存の抗CD19などのCARや新しい標的抗原に対するCARを作成し、これらを同時に新規遺伝子導入NK細胞に発現させ、細胞障害活性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
理由としては、新規膜結合型サイトカインのコンストラクト作成に時間を要したため、費用を要するインターロイキン2を用いた培養や、種々の機能解析などの実験が行えなかったため。 使用計画としては、膜結合型サイトカイン遺伝子の新規作成を行うが、サイトカインについてはまずはIL-15に絞り、細胞外ドメインを最も短くした新規遺伝子で新規feeder cellの開発をする。作成された新規遺伝子をMSCV-IRES-GFPレトロウイルスベクターのマルチクローニングサイトにサブクローニングする。発現ベクターをK562細胞に発現させフローサイトメトリー法にてサイトカイン蛋白発現を確認する。蛋白発現が確認出来たら、申請者らが開発したNK細胞体外増幅法により末梢血単核球と共培養し、活性化NK細胞の増幅倍率をカウントする。これをコントロールと比較し、優れている細胞外ドメインを用いてサイトカイン毎に比較する。
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