2019 Fiscal Year Research-status Report
miR-200sを標的とした肺癌のEMTに起因するTKI耐性克服治療の開発
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18K07261
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福田 康二 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10722548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 伸司 金沢大学, 附属病院, 講師 (90565384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EMT / GSK-3 / EGFR / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
レセプターチロシンキナーゼ阻害薬(TKI) は、ALK 融合遺伝子陽性肺癌(ALK 肺癌)やEGFR 変異肺癌(EGFR 肺癌)に著効を示す分子標的薬であり、臨床で使用さ れている。しかし、顕著な腫瘍縮小が見られた場合でも1~2 年程度で耐性を獲得することが重要な課題である。近年、分子標的薬の獲得耐性機構として上皮間 葉転換(EMT) が注目されており、耐性機構の一因であることが示唆されているが、その克服治療法は確立されていない。 申請者らはこれまでの検討により、miR-200cの発現低下を介した経路によりEMT が誘導され、薬剤耐性を獲得していることを見出した。そこで、本研究で はmiR-200cの発現を誘導する薬剤の中から臨床応用可能なものを選抜し、肺癌のEMT による獲得耐性を克服する新規治療法の開発を目的とした。EGFR肺癌株において第三世代のEGFR阻害薬であるオシメルチニブへの耐性株を作成した結果、EMTが誘導されており、miR-200cの発現が最も低下していたことを見出した。耐性克服に有効な候補薬をスクリーニングした結果、新たにGSK-3阻害薬が有効であることを見出した。さらに、GSK-3阻害薬であるLY2090314やsiRNAによるGSK-3阻害の検討により、GSK-3の阻害は耐性株特異的にAKTシグナルを抑制し、アポトーシスを誘導することが示唆された。 これらの結果を"GSK-3 inhibition overcomes EMT-associated resistance to osimertinib in EGFR mutant lung cancer"として論文投稿し、『Cancer science』誌に2020年4月にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年は、EMTによる耐性を獲得したALK肺癌株の成果をCancer Researchに報告した。今年は別のドライバー変異肺癌であるEGFR肺癌株においても、EMTを克服する治療法を見出すことができ論文に報告することができた。2つのドライバー変異肺癌において、miR-200を標的とした治療法を提唱することができており、大きく進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに研究を進展するためにCRISPER-CAS9のシステムを導入して、これまでに作成したEMTによる薬剤耐性を獲得したALK肺癌株、EGFR肺癌株のmiR-200cの発現を上昇させることのできる遺伝子ターゲットのスクリーニングを行う。新たなターゲット遺伝子が見つかればそれを抑制できる薬剤の探索を行い、その効果をin vitro, in vivoで検証する。
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