2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on the early diagnosis system for pancreatic cancer by the analysis of salivary metabolites
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18K07262
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
板倉 淳 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10252032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20347446)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (30458963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 唾液 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌における低侵襲的な早期診断システムの開発は膵癌の生存率向上にとって重要である。 これまでもポリアミンは、尿中バイオマーカーとして様々な癌腫で発現が報告され、唾液中にもその発現が報告されてきた。膵癌の新しい早期低侵襲的診断システムの確立のため、我々はキャピラリー電気泳動-質量分析法を用いたポリアミンを含む唾液中代謝物質の発現を解析した。 今年度はこれまでに採取した49例の膵腺癌症例(PC群)と、対象として49例の嚢胞性病変(IPMNを含む)(B群)と2315例の健常者(C群)の唾液標本の解析を行った。 検体はLC-TOF-MS(液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析装置)より幅広く物質の同定を行った。49症例のうち男性/女性は26/23人で、平均年齢69.7(51-83)歳、stageI(n=4)、stageII(n=2)、stageIII(n=21)、stageIVa(n=15)、stageIVb(n=6)であった。メタボローム解析では、515の代謝物質の特定と定量化が可能であった。これらのうち75物質は高頻度に検出され(1グループにつき少なくとも>50%)、さらにPC群と対象群(B+C群)の比較では44物質で有意(P < 0.05)にPC群での高発現が認められた。44物質中ポリアミン(N8-アセチルスペルミヂン、N1,N8アセチルスペルミヂン)は初期膵癌症例(stageI+II)においても健常者(C群)に比べ有意な発現が認められた。今回の解析では、膵癌の一般的なバイオマーカーであるCA19-9値は初期膵癌症例(stageI+II)で健常者群(C群)に比べて有意差は認められず、本解析方法を用いた唾液中ポリアミン類を中心としたメタボローム解析が膵癌早期診断システム構築に応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究施設であるJA山梨において当初予定されていたパイロットスクリーニングとしての健常者、膵超音波検査陽性者を対象としたサンプリングが始まっていないため。 その理由として、より安定的な検体採取容器の提供が遅れている事と施設内での運用手順の調整、自己負担等検査費用設定の遅れ挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
安定的な検体採取容器はほぼ完成しており、大量生産に向けた調整を行うことと、検診者へのヒヤリング等を行い、検診者が容易に参加できる検査費用設定を行うことで、予定どおりパイロットスクリーングを本年度中に開始する。
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Causes of Carryover |
学会出張実費が当初予定額より少なかったため。次年度、国際学会を含めて複数学会での発表を予定しているためそちらでの使用を予定している。
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