2019 Fiscal Year Research-status Report
機能的ヒト型人工リンパ組織の構築と抗腫瘍免疫療法への応用
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18K07264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 由佳 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定研究員 (00433590)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リンパ組織 / ストローマ細胞 / がん免疫 / 抗腫瘍活性 / ケモカイン / T細胞 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
年の国内外におけるがん研究により、摘除がん組織に三次リンパ組織が見られる場合、そのがん患者の予後が遥かに良好であることが明らかになりつつある。このような知見から、安定的な免疫組織を人工的に再構築する技術の確立は、機能低下に陥った免疫能を回復させ、がん、感染症に対する免疫能を高め、更に免疫制御の最適化による難治性疾患の治療にも役立つことが期待される。生体内での機能的なリンパ組織構築の重要性は増しつつある。しかしながら、実際に検討されている例は少ない。我々はこれまでにリンパ組織ストローマ細胞を用いて、マウス生体内にマウス型2次リンパ組織様構造の構築法を確立して発表してきた。本研究では、生体内において長期間安定で機能的なヒト型リンパ組織の人工的構築法を確立して、抗腫瘍免疫などの免疫誘導能の証明を目的としている。 前年度までに、これまでの成果を踏まえて、ヒト間葉系幹細胞株化細胞よりリンパ組織特異的ストローマ細胞を誘導した。そのストローマ細胞で形成したスフェロイドとヒト末梢血単核球を用いて、重度免疫不全マウス生体内にT細胞領域及びB細胞領域をもつ三次リンパ組織様構造を構築した。また、構築されたリンパ組織構造には、マウス移植個体由来の脈管構造も観察でき、かつ機能的であることも確認している。このことより、人工リンパ組織の効果は全身性に機能すると考える。 本年度は、(1)免疫不全マウスへ人工リンパ組織に起因する免疫機能の付与の検討(2)今後生体内での抗腫瘍活性の定量的検討を実施するために、生体イメージングが可能となる腫瘍株化細胞の構築、を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、重度免疫不全マウスに移植した人工リンパ組織に起因する免疫機能について、移植局所及び脾臓において、抗原特異的イムノグロブリン(IgM,IgG)及びIFNgammaの測定を行った結果、特に脾臓において抗原特異的な応答を見ることができた。また、次年度以降に実施予定である抗腫瘍活性の検討に必要な生体イメージング系の確立も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に引き続き担がんマウス生体内での人工リンパ組織に基づく抗腫瘍活性の測定及び増強の検討を行う予定である。
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