2019 Fiscal Year Research-status Report
乳癌手術切除断端に対する生組織標本を用いた癌細胞の術中迅速診断の開発
Project/Area Number |
18K07265
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多根井 智紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80771518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRADIPTA AMBARA 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (90631648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術中迅速診断 / アクロレイン / 乳腺切除断端 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、本邦において乳癌に対する乳房温存手術の際、乳腺切除断端の術中迅速病理診断(凍結標本による病理診断)が一般的に施行されていますが、多くの労力と時間を必要としています。なぜなら癌細胞のみを特異的に発現する化合物や抗体などは、現在のところ存在しておらず、臨床医療にて癌組織と正常組織を診断する為には、ホルマリンや凍結などで組織の固定、及びH&E染色などを行い癌組織の形態を確認して病理診断を行う必要がある為です。 今回、我々は、乳腺切除断端の生組織標本を用いて癌細胞の有無を正確、かつ、短時間で診断する方法を開発する為に研究を行っています。我々は理化学研究所田中生体機能合成化学研究室と共同研究を行っており、酸化ストレスの多い細胞で高発現するアクロレインに有機反応を起こして細胞に取り込まれる試薬が、さまざまなヒト癌細胞でアクロレインが多量に発生していることを突き止めました。また、この試薬は、乳癌組織において生組織内の癌細胞に迅速に染色することができ、病理診断と類似する癌組織の画像形態を確認することが可能です。さらに、本試薬を用いて乳癌の手術中に摘出した生組織(癌組織・正常乳腺組織)で有機合成反応を行うことにより、97%の高感度で癌細胞の有無を判別し、がんのさまざまな種類(形態)を5分間で識別できる診断技術を新しく開発しました(Advanced Science.2018,1801479)。現在、我々はアクロレインプローベを用いた乳腺切除断端の生組織を用いた術中癌診断法を“click-to-sense”と表記しており、乳腺組織内の微小な癌組織などにおいても判定可能か追求する研究を行っています。また、今後、本試薬を用いて実際の乳腺切除断端を用いた臨床試験を予定しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在、本試薬を用いて乳癌の手術中に摘出した生組織(癌組織・正常乳腺組織)で有機合成反応を行うことにより、97%の高感度で癌細胞の有無を判別し、がんのさまざまな種類(形態)を5分間で識別できる診断技術を新しく開発し論文発表しています(Advanced Science.2018,1801479)。 本研究内容は、The 16th St. Gallen Breast Cancer Conference ( Vienna, Austria, 2019年3月)、および第119回日本外科学会定期学術集会( 大阪, 2019年4月)にて報告しています。また、染色生組織だけではなく、それらの捺印された生細胞(捺印細胞)においても、癌細胞が正常細胞に比して濃染されていることを確認することができ、第27回日本乳癌学会定期学術集会( 東京, 2019年7月)にて追加報告しています。さらに我々は、乳腺切除断端の術中迅速診断についての臨床医療の現状や課題点、および迅速診断のさまざまな探索的な研究についてのreviewをまとめており、本試薬による乳腺生組織による測定法を含めて総説の論文を発表しています(Advanced Science.2019,1901519)。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、我々はアクロレインプローベを用いた乳腺切除断端の生組織を用いた術中癌診断法を“click-to-sense”と表記しており、乳腺組織内の微小な癌組織などにおいても判定可能か追求する研究を行っています。また、今後、本試薬を用いて実際の乳腺切除断端を用いた臨床試験を予定しています。さらに本研究の画像診断に対して臨床に応用可能な客観的な判定方法を開発する為に大阪大学大学院・情報科学研究科ゲノム情報工学講座と共同研究を行っており、人工知能(AI)の画像診断技術を用いた診断を併用することによって、迅速で簡易、そして病理医を全く必要としない方法へと進化させ、乳癌切除手術の効率を大きく上げることができると期待しています。 染色生組織の判定だけではなく、それらの捺印された生細胞(捺印細胞)においても、癌細胞が正常細胞に比して濃染されていることを確認しており、第27回日本乳癌学会定期学術集会( 東京, 2019年7月)にて追加報告を行っている。今後は、乳腺切除断端の生組織標本を用いた癌細胞の判定を、組織診断と細胞診断(捺印細胞)の双方にて研究を施行していく予定である。
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[Presentation] 生組織標本を用いた乳腺切除断端の 術中迅速診断法の開発2019
Author(s)
多根井 智紀,Pradipta Ambara,盛本 浩二,藤井 素子,三宅 智博,直居 靖人,加々良 尚文,下田 雅史,島津 研三, 金 昇晋, 池田純一郎, 森井英一,田中 克典,野口 眞三郎
Organizer
第119回日本外科学会定期学術集会
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[Presentation] 生組織の標本・捺印細胞を用いた乳腺切除断端の術中迅速診断法の開発2019
Author(s)
多根井 智紀,Pradipta Ambara,盛本 浩二,藤井 素子,三宅 智博,直居 靖人,加々良 尚文,下田 雅史,島津 研三,金 昇晋,田中 克典,野口 眞三郎
Organizer
第27回日本乳癌学会定期学術集会