2019 Fiscal Year Research-status Report
家族性肺腺癌発病機序の分子細胞学的解析に関する研究
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18K07269
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福島 喜代康 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00746620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亨 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (50444873)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / がん遺伝子 / 家族性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに家族性肺癌の原因遺伝子変異とし確定しているものはないが、日本赤十字社長崎原爆諫早病院では 3 世代に渡って 24 名に肺癌の発生を認めるという、肺癌の常染色体優性遺伝形式が強く疑われる大家系を本邦で初めて見いだした。 この家族性肺癌の病原遺伝子変異を同定するため、本研究開始までに当家系内の肺癌患者3名と健常者6名のゲノムDNAのエクソーム解析を行い、17遺伝子変異を検出した。次いで、蛋白質機能予測データベースを用いて変異機能解析を行い、うち5つの遺伝子に病原遺伝子変異と予想される変異を認めた。 これら5遺伝子が癌原因遺伝子であることを実証することを目指し、研究初年度である平成30年度末までに、当院に凍結保存されていた切除腫瘍組織8検体と非癌組織2検体について上記5遺伝子のターゲットリシークエンス解析を実施し、バイオインフォマティクス解析を行ったが、肺癌組織において標的遺伝子の有意な変異の検出を確認することはできなかった。 2020年にがん種横断的全ゲノム解析(PCAWG)コンソーシアムが38種類のがんについて2800例以上の全ゲノム解析を行った結果が発表され、非コード領域にも多数のがん責任遺伝子変異の存在が示唆された(Rhelnbay et al. 020. Nature. 578: 102-111)。我々が現在までに標的遺伝子変異の特定に至っていない原因のひとつとして、我々がエクソーム解析のみに頼ってきたことがあるのではないかと考えられたため、本年度は本家系内がん患者の正常組織及び腫瘍組織より抽出した核酸のwhole genome sequencingを行った。最終年度である令和3年度は、得られた本家系がん患者の全ゲノム配列において、(1)正常組織のゲノムとがん組織のゲノム比較解析と、(2)発表されているがん関連遺伝子変異の網羅的な解析、を行うことで標的遺伝子の有意な変異の確定を目指す予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点においては肺癌組織において標的遺伝子の有意な変異の確定には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度に本家系内がん患者の正常組織及び腫瘍組織のwhole genome sequencingを行うことができたため、最終年度である次年度には(1)正常組織のゲノムとがん組織のゲノム比較解析と、(2)発表されているがん関連遺伝子変異の網羅的な解析、を行うことで標的遺伝子の有意な変異の確定を目指していく予定としている。
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Causes of Carryover |
患者検体の全ゲノムシーケンシングの外注が可能となったのが本年度の半ば以降であったため、シーケンシングの完了が当初の予定よりも遅れてしまったため。
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