2020 Fiscal Year Research-status Report
家族性肺腺癌発病機序の分子細胞学的解析に関する研究
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18K07269
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福島 喜代康 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00746620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亨 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (50444873)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / がん遺伝子 / 家族性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに家族性肺癌の原因遺伝子変異として確定しているものはないが、日本赤十字社長崎原爆諫早病院では3世代に渡って24名に肺癌の発生を認めるという、肺癌の常染色体優性遺伝形式が強く疑われる大家系を本邦で初めて見いだした。 この家族性肺癌の病原遺伝子変異を同定するため、本研究開始までに当家系内の肺癌患者3名と健常者6名のゲノムDNAのエクソーム解析と変異機能解析を行い、5つの遺伝子に病原遺伝子変異と予想される変異を認めた。当院に凍結保存されていた切除腫瘍組織8検体と非癌組織2検体について5遺伝子のターゲットリシークエンス解析を実施し、バイオインフォマティクス解析を行ったが、肺癌組織において標的遺伝子の有意な変異の検出を確認することはできなかった。 がん種横断的全ゲノム解析(PCAWG)コンソーシアムが2020年に38種類のがんについて2800例以上の全ゲノム解析を行った結果が発表され、非コード領域にも多数のがん責任遺伝子変異の存在が示唆された。我々が標的遺伝子変異の特定に至らなかった原因のひとつとして、我々がエクソーム解析のみに頼ってきたことがあると考えられたため、本家系内がん患者の正常組織及び腫瘍組織より抽出した核酸のwhole genome sequencingを行い、合わせてバイオインフォマティクス解析を行った。その結果、腫瘍組織の遺伝子では、25,861か所の新規single nucleotide variants (SNVs)、10,704か所の新規insertion/deletion(InDels)が検出され、また、検出されたcopy number variations(CNVs)数は、gainが43、lossが44であった。現在これらの得られた結果を解析し、本家系にみられる癌の原因遺伝子変異の解明を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年初めより起こった新型コロナウイルスパンデミックへの対応に忙殺されたため、whole genome sequencingの結果の解析に十分な時間を使うことができなかった。 研究期間の1年延長許可が得られたため、今年度中にデータの解析を完了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在腫瘍組織における遺伝子変異と正常組織における遺伝子変異の比較と、現在までに報告されている癌関連遺伝子変異との比較解析を行うことで、本家系にみられる癌の原因遺伝子変異の探索を続ける。
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Causes of Carryover |
本年度新型コロナ感染症対応に追われ、本研究のために十分な時間と労力を割くことができなかったため、解析が進まず次年度使用が発生した。令和3年度に実施予定の解析費用に充てる予定である。
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