2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism of tumor specific growth inhibition by polyethylene glycol derivative PEG-X
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18K07275
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤原 恭子 日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 俊文 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ DNA損傷シグナル研究室, 室長 (40260252)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール誘導体 / 抗腫瘍薬 / マウス皮下腫瘍モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、生体に対するPEG-Xの効果の検討ために、動物実験を行った。免疫不全マウスNOD-SCIDの皮下に、神経芽腫細胞株SK-N-ASを移植して皮下腫瘍を作成し、腫瘍が200m3に育った時点で薬剤の投与を開始した。投与は15mg/Kg(体重)のPEG-Xもしくは水のみを週1回、経尾静脈で1か月間行った。週1回ずつ腫瘍サイズやマウスの健康状態を確認・記録し、最終投与日の1週間後に剖検および腫瘍の摘出を行った。その結果、PEG-X 投与群で腫瘍サイズの低下を観察したが、統計的な有意差はなかった。 そこで投与条件を変えて2回目の実験を行った。1回目と同様にマウスに皮下腫瘍を作成し、腫瘍サイズが100m3を超えた時点で15mg/Kg(体重)のPEG-X 15mg/Kg(体重)もしくは水のみを週2回、腹腔内注射により投与した。週1回ずつ腫瘍サイズやマウスの健康状態の確認・記録し、最終投与日の1週間後に剖検・腫瘍の摘出を行った。解析の結果、PEG-Xは腫瘍の増殖を有意に抑制することが確認できた。 また、PEG-Xの投与により、脂質代謝酵素の発現や活性に変化が現れるか検証したが、明確な結果が得られなかった。当初はPEG-X投与によりアセチルCoAが低下するという結果を得ていたが、何回かの追加実験の結果、その現象が再現できず、PEG-Xが脂質代謝ではなく、むしろミトコンドリアの呼吸鎖に作用している可能性が考えらえるデータを得た。今後はそれについての検証を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、PEG-Xの標的候補と考えられた脂質代謝酵素について、PEG-X投与後の発現や活性の変化を検討したが、非投与群との明確な差が得られなかった。さらに追加の解析から、PEG-Xが脂質代謝酵素でなく、ミトコンドリアの電子伝達系に作用していることを示す証拠を得たため、その詳細な検証実験を行っている。一方、動物実験では、PEG-Xが腫瘍増殖を抑制することを示すことができたため、実験は概ね順調に進んでいると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により、PEG-Xの標的がミトコンドリアの電子伝達系である可能性を示唆するデータを得たため、その検証実験としてPEG-X投与後の酸素消費量をflux-analyzerで測定する。PEX-Gの濃度や投与後してから酸素消費量が変化するまでにかかる時間を解析することで、作用機序の予測を行う。更に、電子伝達系を担う、複合体I~Vの活性がPEG-X投与により変化するかどうか解析する予定である。また、動物実験に関しては、前年度に通常食で飼育した状態でPEG-Xが抗腫瘍効果を発揮することを確認しているので、今後は糖質制限食で飼育した際にPEG-Xによる抗腫瘍効果が更に増大するかどうか検討を行う。
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Causes of Carryover |
概ね予定通り計画が進んだため、研究費もほとんどを予定通り使いきった。しかしながら一部の試薬について、予定より少ない量で実験が進み、購入不要となったため、若干の繰越金が発生した。次年度使用額と平成31年度助成金を合わせて、計画書通りに動物実験や培養系での実験を行う予定である。計画書申請時と比べて試薬類の価格が上昇していることを考えると、次年度使用額分の増額があっても実験内容には特に大きな変更は不要と考えている。
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Research Products
(1 results)