2018 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌におけるVEGF非依存性の新規血管新生因子の同定
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18K07278
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
江口 良二 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00461088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 血管新生 / VEGF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非小細胞肺癌細胞株A549、EBC-1およびLu99に対して無血清培養を行い、①EBC-1のみ無血清培養条件下でも生存できること、②EBC-1の無血清培養上清が3次元血管モデルに対して血管新生を誘導すること、③その血管新生は抗VEGF抗体による抗中和実験およびEBC-1が発現するVEGFに対するRNA干渉では完全には抑制されなかったことが既に示されており、EBC-1はVEGFとVEGF非依存性の血管新生因子を分泌することが示唆された。また、EBC-1におけるVEGF非依存性の血管新生因子を明らかにするため、EBC-1の無血清培養上清に対してLC-MS/MSを用いたショットガン解析を行ったところ、④1007個のタンパク質がこれまでの本研究で同定された。 平成30年度では、この1007個のタンパク質の中からVEGF以外で血管新生を直接誘導する報告のある10個の候補タンパク質に焦点を当て、中和抗体およびRNA干渉を用いた実験を行った。その結果、タンパク質XがEBC-1におけるVEGF非依存性の新規血管新生因子であることを見出した(論文投稿準備中のためXと呼称する)。Xは本研究で使用した他の非小細胞肺癌細胞株A549およびLu99においても同等以上に発現していることが半定量PCR法で確認されたので、無血清培養下では生存できないLu99の培養上清(血清を含む)を、濃縮することなく高濃度のLu99由来分泌タンパクを含んだ培養上清を回収できる3次元培養モデルを新たに開発した。Lu99の3次元培養上清を3次元血管モデルに添加したところ、血管新生が誘導され、その血管新生はVEGFおよびタンパク質Xのどちらも関与しないことを見出した。現在、VEGFおよびタンパク質X非依存性の血管新生因子を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非小細胞肺癌細胞株Lu99が分泌するVEGFおよびタンパク質X非依存性の血管新生因子を探索するため、EBC-1およびLu99のmRNAマイクロアレイを行った。その結果、両細胞株もしくはLu99にのみ発現する6450個の遺伝子を同定した。そこで、EBC-1には発現せずLu99にのみ発現し、血管新生を直接誘導する報告のある3つの遺伝子に焦点を当て、抗中和抗体実験を行った。その結果、タンパク質Yの抗中和抗体がLu99の3次元培養上清による血管新生を完全に抑制することを見出した(論文投稿準備中のためYと呼称する)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)では、タンパク質YがLu99の3次元培養上清が誘導するVEGFおよびタンパク質X非依存性の血管新生因子であることを裏付けるため、Lu99が発現するタンパク質Yに対してRNA干渉を処理した後のLu99の3次元培養上清を用いた血管新生実験を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度では、申請額よりも必要経費が足りなくなったため試薬消耗品に使用する経費の前倒し申請を行った。前倒し申請額の残額は平成31年度(令和元年度)の交付額と合わせて実験に使用し、令和元年度内の論文受理(別刷りを含む)までを使用計画とする。
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