2020 Fiscal Year Annual Research Report
Targeted inhibition of Tim-3-positive tumor-associated macrophages suppresses tumorigenicity of cancer cells
Project/Area Number |
18K07287
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 明弘 北海道大学, 産学・地域協働推進機構, 特任助教 (00451419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍マクロファージ / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、難治性固形癌に対する多剤化学療法や分子標的治療の問題点である『腫瘍細胞の抗癌剤耐性能獲得と再発と転移促進』を解決すべく、腫瘍マクロ ファーシ(Tumor-associated macrophages: TAMs)が『腫瘍細胞の幹細胞様特性獲得とそれに伴う発癌と転移活性促進』を誘導する分子機序の解明を行い、現在 の臨床で実施されている難治性固形癌に対する治療効果の劇的な改善に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。 その結果、Tim-3陽性TAMsがヒト腫瘍細胞に幹細胞様特性を誘導する分子機序を解明するため、ヒト腫瘍細胞株を移植し作製した腫瘍モデルマウスの腫瘍組織から採取したTim-3陽性およびTim-3陰性TAMsとヒト腫瘍細胞を共培養して、腫瘍細胞での幹細胞マーカーの発現について調べたところ、腫瘍細胞集団の約10%で幹細胞マーカーの発現が認められ、Tim-3と幹細胞マーカーを発現する腫瘍細胞を免疫不全マウスに皮下移植すると、腫瘍形成能が高いことが確認された。また、腫瘍細胞の幹細胞様特性を誘起するTAMs由来の責任因子の解析を行ったところ、3つ候補因子(IL-6、HB-EGF、MFG-E8)を検出することができた。これらの因子を抑制したTAMsは、腫瘍細胞に対し て、幹細胞様特性を誘起することが出来ないことが明らかとなった。一方、MFG-E8を強制発現させたTim-3陰性TAMsは腫瘍細胞での幹細胞マーカーを発現を誘導することがわかった。そこで、MFG-E8をマクロファージで特異的に欠損するマウスを作製し、腫瘍形成能を調べると、コントロールマウスでに比べて、腫瘍形成能、幹細胞特性誘導能が低いことが確認された。これらの結果から、腫瘍マクロファージは、特定の因子を分泌することで、腫瘍細胞に幹細胞特性を付与することで、腫瘍形成に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)