2018 Fiscal Year Research-status Report
抗がん薬耐性分子病態の系統的薬理解析に基づく急性白血病の新救援治療戦略の確立
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18K07294
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山内 高弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90291377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 英樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (40444228)
細野 奈穂子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (50509312)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性白血病 / クロファラビン / 抗アポトーシスタンパク / 耐性克服 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規抗白血病薬クロファラビンの細胞内活性体(3リン酸体)生成を核に以下の検討をおこなった。i) 薬剤感受性予測因子の薬理学的同定、ii) 細胞内3リン酸体濃度モニタリング、iii) 至適併用法の検討、である。 1年目に以下を見出した。クロファラビン耐性細胞の2種類で耐性機序を検討した。これら耐性細胞ではいずれにても細胞内クロファラビン3リン酸生成が低下し、低下度と耐性度は関連し、モニタリングの重要性が示された。リン酸化酵素の低下幅と3リン酸生成は相関した。 耐性細胞で抗アポトーシスタンパクBcl-2の発現増加が見出された。発現レベルはクロファラビン耐性レベルに相関した。しかし抗アポトーシスタンパクの発現レベルと細胞内クロファラビン3リン酸生成とは直接関連がなかった。以上からクロファラビン感受性予測因子は細胞内リン酸化酵素と抗アポトーシスタンパク発現量であることが判明した。 続けてBcl-2阻害薬ベネトクラクスの抗腫瘍効果を検討した。本薬はクロファラビン感受性細胞、耐性細胞ともに細胞増殖を抑制し、さらにアポトーシス死を誘導した。しかしその効果はBcl-2発現が増強するにつれ減弱した。さらにクロファラビンとベネトクラクスを併用し検討した。ベネトクラクス併用はクロファラビン感受性細胞では相加効果、耐性細胞では相乗効果を示した。子の効果はBcl-2の発現レベルと無関係であった。 Bcl-2の阻害が細胞内クロファラビン3リン酸生成を増強させるかについても検討した。ベネトクラクスとクロファラビンの併用で細胞内クロファラビン3リン酸生成は増加しなかった。即ち、3リン酸体生成量は増加しない新たな併用戦略の糸口が判明した。 Bcl-2と異なる抗アポトーシスタンパクとしてMcl-1がある。耐性細胞ではMcl-1の過剰発現があることを見出した。次年度にMcl-1を標的とした耐性克服法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のごとく1年目に予定していたi)-iii)を検討し、成果をもたらすことが可能であった。即ち、新規薬剤クロファラビンの細胞内3リン酸体が薬剤感受性を規定しそのモニタリングが重要であること、薬剤感受性予測のためにはそれだけではなく抗アポトーシスタンパク発現量も影響することを見出した。また当初は3リン酸体生成を増強させる克服法を目論んでいたが、抗アポトーシスタンパクを標的とする併用は3リン酸生成を増加させることなく、抗腫瘍効果を増強させた。このように発展的にアポトーシス経路を標的とする全く新しい戦略を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規薬剤クロファラビンの耐性克服法として抗アポトーシスタンパクの阻害という新しい視点から検討を開始した。具体的にBcl-2, Mcl-1の二つの抗アポトーシスタンパクを標的とする新規治療戦略を発展させていく。クロファラビン3リン酸体生成を増加させることに加え、第3の併用から耐性克服のみならず、新規発症白血病への治療戦略への応用も踏まえた、細胞内活性体増加+抗アポトーシス経路阻害による抗腫瘍効果増強への利用の新しい観点からの検討を今後行う。
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Causes of Carryover |
実験予定iii)が次年度に入っており、それに必要な物品を購入する必要があるため
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Successful treatment of disseminated intravascular coagulation by recombinant human soluble thrombomodulin in patients with acute myeloid leukemia.2018
Author(s)
Ookura M, Hosono N, Tasaki T, Oiwa K, Fujita K, Ito K, Lee S, Matsuda Y, Morita M, Tai K, Negoro E, Kishi S, Iwasaki H, Ueda T, Yamauchi T.
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Journal Title
Medicine (Baltimore)
Volume: 97
Pages: 12981
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Febuxostat is useful for cancer-associated hyperuricemia in patients with hematologic malignancies.2018
Author(s)
Oiwa K, Morita M, Kawamichi M, Fujita K, Lee S, Negoro E, Ookura M, Matsuda Y, Tai K, Naoko Hosono N, Ueda T, Yamauchi T.
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Journal Title
Gout Nucleic Acid Metabol
Volume: 42
Pages: 157-164
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Outcomes after R-CHOP in patients with newly diagnosed advanced follicular lymphoma: a 10-year follow-up analysis of the JCOG0203 trial.2018
Author(s)
Watanabe T, Tobinai K, Wakabayashi M, Morishima Y, Kobayashi H, Kinoshita T, Suzuki T, Yamaguchi M, Ando K, Ogura M, Taniwaki M, Uike N, Yoshino T, Nawano S, Terauchi T, Hotta T, Nagai H, Tsukasaki K; JCOG0203 Collaborators(Yamauchi T et al.).
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Journal Title
Lancet Haematol
Volume: 5
Pages: 520-531
DOI
Peer Reviewed
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