2019 Fiscal Year Research-status Report
ヘルパーT細胞への抗原提示に注目した腫瘍免疫反応の場における血管内皮細胞の解析
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18K07299
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
清水 健之 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (10339137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇高 恵子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (40263066)
小松 利広 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90598517)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん免疫 / T細胞 / 抗原提示 / 血管内皮細胞 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血管内皮細胞の抗原提示活性に注目して、腫瘍組織内血管内皮細胞の表現系や遺伝子発現の特徴を明らかにする。さらにその特徴を目印として、免疫反応の進行している場の検出法の開発を目指している。これまでに、HUVECにおいてIFNγの作用により発現が変動するmiRNAを同定し、それらについて腫瘍内血管内皮細胞での発現解析変化や、血漿に含まれるmiRNAの変動に注目して解析を進めている。 2019年度は、マウス腫瘍モデルを用いた血管内皮細胞の遺伝子発現解析を行なった。卵白アルブミン(OVA)を発現しているT細胞リンパ腫細胞株E.G7をマウスに皮下注射して、腫瘍を形成させた。さらに、OVAに特異的なTCRを発現しているT細胞を移植した。摘出した腫瘍から血管内皮細胞を分離し、遺伝子発現をRT-PCRで解析した。mRNAの解析では、正常組織内の血管内皮細胞と比較して、腫瘍内血管内皮細胞ではMHCクラスII分子やCD74の発現が高い事がわかった。これにより、腫瘍内血管内皮細胞のMHCクラスII分子発現亢進が遺伝子レベルで確かめられた。並行して、腫瘍内血管内皮細胞におけるmiRNAの発現解析を行なった。HUVECでIFNγによる発現変動と同様の変化がみられるmiRNAもあり、興味深い。これらのマウス腫瘍モデルから得られた血漿について、現在miRNAの解析を進めている。今後ヒト癌患者の血漿遺伝子解析の結果と合わせて検討する事が必要である。 ヒトでも腫瘍免疫反応によって血管内皮細胞にmiRNAの発現変動が起こり、それが血漿中のmiRNAに反映されている可能性がある。これを検証するため、高知大学附属病院泌尿器科の協力のもと、腎細胞癌患者のサンプルを集めている。先行して、健常人血清を用いて、RT-PCRによるmiRNA発現の定量化の条件検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、マウス腫瘍モデルを用いた血管内皮細胞の解析が順調に進んだ。現在、マウス血漿の解析を進めている。miRNAの抗原提示活性に及ぼす影響については、実験が進んでいない。 ヒト血漿の解析は、サンプルの収集と解析方法の検討が順調に進んでいる。現在までに、免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けている患者を中心に8例の血漿を採集した。今後、解析をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス腫瘍モデルの解析は、引き続き血漿の解析を行う。血漿中のmiRNAをRT-PCRによって定量し、正常マウスと腫瘍マウスの比較、さらに腫瘍抗原特異的T細胞の効果を比較検討する。血漿中に含まれるエキソソームを分離することで、より精度の良い解析が可能かについても検討する。 miRNAが血管内皮細胞の抗原提示制御に関係しているのかを検討する。培養細胞を用いて、IFNγを作用させたときのMHCクラスII分子の発現上昇におけるmiRNAの影響を解析する。 ヒト腎癌患者の血漿について、RT-PCRによってmiRNAを定量する。健常人との比較、および免疫チェックポイント阻害療法による変動を解析し、腫瘍に対する免疫反応が起こっていることを血漿のmiRNAを通じて検出できるのかを検討する。
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Causes of Carryover |
試薬や抗体等で予定よりも実際の購入金額が低かったものがあり、未使用額が生じた。miRNAの機能解析については実験が進んでいないのでこれに用いる。また可能であればより多くのサンプルを解析することによりデータの信頼性を高めるなど、次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Development of a novel monoclonal antibody that binds to most HLA-A allomorphs in a conformation-dependent yet peptide-promiscuous fashion2020
Author(s)
Toshihiro Komatsu, Takeyuki Shimizu, Makoto Kanoh, Tomoya Miyakawa, Yoko Satta, Yoshiki Yasukochi, Rika Fujimoto, Motoki Tada, Kaori Machida, Sayo Kataoka, Keiko Udaka
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Journal Title
Immunogenetics
Volume: 72
Pages: 143-153
DOI
Peer Reviewed
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