2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of mechanism of radiosensitizing effect of 5-aminolevulinic acid for malignant gliomas
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18K07307
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山本 淳考 産業医科大学, 医学部, 教授 (80461565)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5-ALA / 低酸素 / 放射線治療 / 悪性リンパ腫 / 悪性グリオーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、従来より5-アミノレブリン酸(ALA)の放射線増感作用について悪性グリオーマ細胞株を用いてその効果をin vitroおよびin vivoで証明し、放射線増感作用は、5-ALAから誘導されるプロトポルフィリンIX(PpIX)が細胞内に蓄積することにより、その効果が得られることも同定した。臨床的に悪性脳腫瘍はさまざな種類があり、放射線感受性が高い悪性リンパ腫に対して、本治療法の応用を考え、現在、実験を進めており、悪性リンパ腫は5-ALAから誘導されるPpIXを十分に蓄積することを証明した。放射線治療を考えた際に、放射線治療抵抗性と低酸素領域との関連が従来より示唆されている。5-ALAの放射線増感作用は、悪性グリオーマや悪性リンパ腫における低酸素領域にどのような効果を示すのか不明である。そのため、今回は、それぞれの細胞株における、低酸素下での培養状態の評価を行った。過去の文献を参照に、培養条件を通常酸素濃度、5%酸素濃度および1%酸素濃度を設定した。悪性リンパ腫細胞株(CTB1, Raji, HKBML, MC116)および悪性グリオーマ細胞株(9L, U251)を用いて、低酸素下(酸素濃度5%, 1%)での24時間培養し、フローサイトメーターで生存率を評価した。通常酸素濃度と比較し、低酸素条件では、細胞増殖能が低下することが分かったが、しかし一方で、各細胞間において、低酸素下での細胞生存能力は異なることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素領域(細胞)に対する5-ALAの放射線増感の評価は必須である。今回、悪性リンパ腫および悪性グリオーマ細胞株において、低酸素下条件では、各細胞株間でその細胞生存能力がかなり異なることが判明したことは非常に重要である。本研究において、今後の細胞培養における、低酸素条件が設定された。 低酸素細胞領域に対する放射線治療効果をどのように向上させるかは、極めて重要な点であり、各細胞株での培養条件(酸素濃度)の反応性が確認されており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験において、悪性リンパ腫および悪性グリオーマにおいて、低酸素細胞下では、通常酸素濃度と比較し、細胞生存率が低下するもの、各細胞株間で若干異なることが判明している。まず、これらの違い(低酸素ストレス)を評価するため、HIF-1の発現量をウエスタンブロッティングで評価したい。この低酸素ストレスの評価を定量化した後に、そのような条件下で、5-ALAから誘導されるPpIXが蓄積されているのか、されているとすればその蓄積量が通常酸素培養下と比較し、どのように変化していくのか評価が必要である。PpIXが蓄積されていれば、実際の放射線治療をこれらの低酸素下で培養された細胞株に対して行ったときにどのような反応を示すのか。また、放射線照射により、これらの細胞には、活性酸素種がどのような状態で産生されているのかを、コロニー生成法およびフローサイトメトリー法で評価を行っていく方針である。
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