2018 Fiscal Year Research-status Report
がん遺伝子活性化変異による小胞体ストレス抵抗性の分子機序解明と治療への応用
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18K07309
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
國政 和宏 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 研究員 (50534020)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 小胞体ストレス抵抗性 / がん遺伝子 / 活性化変異 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレスに対する抵抗性の獲得は、小胞体内に異常タンパク質が蓄積しやすい微小環境下にあるがん細胞にとって重要な防御機構の一つであるが、その分子機序に関しては不明な点が多い。これまでの研究により、がん遺伝子Xの活性化変異体が小胞体ストレス抵抗性因子であることを見出していた。本研究では、がん遺伝子Xの活性化変異体による小胞体ストレス抵抗性化機序を分子レベルで明らかにし、その治療標的化を目指している。がん遺伝子Xは直接阻害することが困難な標的分子であるため、本年度はX活性化変異細胞株において、小胞体ストレッサー(ツニカマイシン: N型糖鎖修飾阻害剤)と合成致死効果を発揮する化合物を、フェノタイプスクリーニングで探索した。その結果、小胞体ストレス下で細胞死を誘導する22個のヒット化合物を同定した。さらに、複数のX活性化変異細胞株を用いて、小胞体ストレス選択性を検証した結果、小胞体ストレス抵抗性を解除する化合物として、化合物Lを見出した。化合物Lの標的分子を阻害する複数の臨床治験薬も同様に、小胞体ストレス抵抗性を解除する効果を確認した。以上の成果は、化合物Lの標的分子が、がん遺伝子X活性化変異細胞株における小胞体ストレス抵抗性に関与していることを示唆している。小胞体ストレス抵抗性化機序の解明とそれに対する阻害剤の同定は、増殖シグナル阻害とは異なる作用機序に基づいたがん治療法の確立やX活性化変異がんに特徴的な病態の理解に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェノタイプスクリーニングによる小胞体ストレス抵抗性化阻害剤の探索は順調に進んでいるが、がん遺伝子X活性化変異細胞株等を用いた遺伝子発現解析等による小胞体ストレス抵抗性機構の絞り込みがやや遅延しているため
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Strategy for Future Research Activity |
化合物Lの標的分子と小胞体ストレス抵抗性化機構の関係性を明らかにする。さらに、がん遺伝子X野生型細胞株とX活性化変異細胞株等を用いた遺伝子発現解析等による小胞体ストレス抵抗性機構の絞り込みを進める。以上の研究等により、小胞体ストレス抵抗性化機能の解明や臨床応用可能な阻害剤の同定を試み、マウスゼノグラフトモデル等で検証するための基礎的なデータの取得を進める。
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Research Products
(4 results)