2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of synthetic lethal therapy based on gene mutations in renal cancer
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18K07312
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
荻原 秀明 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40568953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎臓がん / PBRM1 / SETD2 / BAP1 / 合成致死性 / 最適化がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎臓がんの約半数の患者が対象となるPBRM1、SETD2、BAP1欠損がんに対する合成致死治療標的を同定し、腎臓がん患者を対象とした個別化がん治療法を開発することを目的とする。これまでの研究でPBRM1、SETD2、BAP1遺伝子のKO細胞株モデルを構築し、化合物およびsiRNAライブラリースクリーニングによって、候補となる標的薬や標的遺伝子を同定し、候補阻害剤を絞り込んだ。しかし、腎臓がん細胞株モデルにおいて検証した結果、候補薬剤はこれらの欠損型遺伝子異常に選択性を示さなかった。そこで、腎臓がんの40%以上の患者で欠損型遺伝子異常が認められるPBRM1遺伝子異常に焦点をあて、PBRM1欠損がんに有望な合成致死標的を同定することを検討した。まず、KO細胞株モデルを用いて同定した標的薬の有望性が、がん細胞株モデルで反映されなかったことから、がん細胞株モデルにおけるPBRM1欠損型モデルの構築を検討した。つまり、腎臓がんのPBRM1欠損型細胞株にPBRM1の遺伝子を導入することで、PBRM1遺伝子の欠損を相補した細胞株を樹立した。つぎに、がん細胞株とその遺伝子異常に基づいた依存性因子に関するデータベースを利用して、PBRM1欠損型腎臓がん細胞株に依存性を示す遺伝子を独自に探索し、依存性の高い上位トップ10の遺伝子を抽出した。さらに、PBRM1欠損型細胞株(―PBRM1)および、そのPBRM1導入細胞株(+PBRM1)に対して、これらの候補遺伝子をノックダウンしたときの合成致死性を検討した。その結果、5つの遺伝子がPBRM1欠損型細胞株の合成致死遺伝子として選定された。今後は、さらにがん細胞株パネルで有望な遺伝子を絞り込み、マウス移植腫瘍モデルで検証することで、PBRM1欠損がんに有望な合成致死標的を同定するとともに、合成致死性のメカニズムを解明していきたい。
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