2018 Fiscal Year Research-status Report
CXCL14と自然免疫活性化核酸による腫瘍免疫誘導メカニズム
Project/Area Number |
18K07313
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
種子島 幸祐 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (20507678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CXCL14 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケモカインCXCL14は細胞遊走を誘導する一般的なケモカインの機能とは別に、Tlr9を介した自然免疫応答を誘導するCpG DNAと高親和性の複合体を形成し、その取り込み増強を介してCpG DNAの活性を大幅に増強する。本年度は同じく核酸による自然免疫応答を誘導するcGAS/STING経路への影響や、ヒトモデルでのCpG DNAとの組み合わせによる免疫応答について解析を行なった。cGASリガンドに関しては、既知のcGASリガンドとCXCL14の組み合わせについて、Raw264細胞や骨髄由来樹状細胞などを用いて自然免疫応答が誘導されるかどうかを調べたが、反応性が上昇する組み合わせは見つからなかった。CpG DNAに関しては、ヒト樹状細胞株CAL-1を用いて反応性を検討した。マウスの細胞に比べて、CAL-1の活性化は高活性型のCpG DNAを用いる必要があるなど、種間の差が見られた。CXCL14はCAL-1に対してもCpG DNAの細胞への結合、取り込み、活性増強を誘導し、マウス細胞と同様にCXCL14がCpG DNAの腫瘍免疫応答を増強できる可能性が示唆された。最後にin vivo実験はCXCL14による抗がん活性について、CXCL14-TgおよびTlr9KOを繁殖し、B16F10細胞を移植して実験を行っている。また、高活性型CpG DNAとCXCL14を組み合わせてB16F10腫瘍増殖が抑えられるかどうかについての実験、およびCXCL14-KOマウスにおいて、CpG DNAによる腫瘍増殖低下にどのような影響があるかについて実験を行なっている。これらの実験により、CpG DNAとCXCL14による協調作用が、抗腫瘍活性にどのような影響をもたらしているかについての研究結果が得られる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CXCL14とcGAS/STING経路との関連性については、本年度の実験でそれほど強い活性がないことが示唆された。しかし、これまでわかっていなかったヒトでの自然免疫応答の活性化については、ヒト樹状細胞細胞株を用いた実験により、CXCL14とCpG DNAとの関連がわかってきた。この結果はCXCL14が作用する腫瘍免疫活性化CpG DNAの最適化へ向けて大きく前進する結果である。CXCL14による腫瘍増殖抑制の実験に関しては、CXCL14-TgマウスやTlr9KOマウス、およびCXCL14-KOマウスへのB16F10細胞移植実験を進めている。これらの実験は再現性や例数を十分にするための実験が進行中であるが、現段階ではマウスの繁殖などは順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、腫瘍抑制の実験の再現実験などを行い、CpG DNAとCXCL14による協調作用の抗腫瘍活性への影響について結論づける。また、CXCL14側のドメイン解析により、自然免疫誘導活性を保持して最小のCXCL14改変ペプチドを作出することにより、CpG DNAとの組み合わせで腫瘍免疫増強に最適化した組み合わせを開発する。さらに、最近になって進展したCXCL14/核酸複合体に対する受容体の解析を組み合わせることにより、CXCL14による腫瘍免疫増強の分子メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせ等で申請した旅費の使用が必要なくなったが、物品費予算が若干増加したため以上の差額となった。未使用額は次年度の物品費として使用する。
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