2019 Fiscal Year Research-status Report
全ゲノム解析とCRISPR/Cas9を応用した大腸癌肝転移に対する新規治療戦略
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18K07316
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 重紀 北海道大学, 医学研究院, 講師 (30533674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武冨 紹信 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70363364)
横尾 英樹 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70399947)
川村 秀樹 北海道大学, 医学研究院, 客員教授 (70645960)
神山 俊哉 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80322816)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大腸癌肝転移 / 遺伝子変異 / コピー数異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、転移巣では原発巣とドライバー遺伝子が異なり、治療の有効性が個人で異なる事が報告されている。我々は、同一症例の大腸癌原発巣と肝転移巣の双方を用いたゲノム解析により、原発に認めず肝転移にのみ認めた遺伝子変異(BRAF, TGFβR2、RNF43, P16 INK4A, MLH1)や原発に比し肝転移で増幅したコピー数(CN)異常(CTNNB1, PIK3CA, TGFBR2, FGFR1)を示した。 本研究は、上記ドライバー遺伝子が大腸癌肝転移形成にどの様に寄与しているかを明らかにする事を目的とした。目的達成の為にまず上記遺伝子が治療標的となり得るか否かの実証に着手し、上記遺伝子に対して、原発、肝転移、双方での蛋白発現レベルについて検討した。 CN解析で差のあった上記4遺伝子について免疫組織化学染色(IHC)を用いてCNと蛋白発現の相関を評価した。PIK3CA、TGFBR2、FGFR1は、原発、肝転移ともにCN上昇例でIHCスコアも上昇する傾向を認め、特にFGFR1では原発巣と肝転移巣間でCN上昇とIHCスコア上昇に有意な相関関係を認めた。しかし、全体では原発巣と肝転移巣間のCN上昇とIHCスコア上昇が一致する症例は半数で、CN上昇と蛋白発現に解離を認めた。その解離の要因を検討するため、原発巣と肝転移巣での遺伝子発現の相違について検討を行い、さらなる候補遺伝子の抽出を行った。 正常大腸組織を対照とし、遺伝子発現変動のあった遺伝子は原発巣で808、肝転移巣で884認めた。また原発巣と肝転移巣の比較で発現変動のあった遺伝子は166認めた。各群に対しエンリッチメント解析を行った所、細胞接着や細胞外マトリックス、膠原繊維組織に関する因子を上位に認めた。 現在、CN解析結果と統合し、さらなる候補遺伝子の絞り込みを行っており、その後オルガノイド樹立や変異遺伝子導入へ進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドライバー遺伝子の蛋白発現を検討した後に、遺伝子発現解析との統合解析を行い、候補遺伝子の再抽出をしている段階である。当初予定していたヒト正常大腸上皮幹細胞からオルガノイドを樹立するシステムの構築にはまだ至っていない。一方で、当初の予定とは異なる新知見が期待されていることを考慮し、全体としての進捗状況はやや遅れているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌原発巣と肝転移巣間での、ゲノム解析と遺伝子発現解析の統合解析を進め、ドライバー遺伝子の絞り込み、再抽出を行う。その後、in vitroにおける機能解析を経たのち、オルガノイド樹立、マウス移植・肝転移モデル実験での検討を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
候補遺伝子の免疫染色解析、遺伝子発現解析等による追加検討を先行したため、当初予定していたオルガノイド樹立システムや、CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変実験に必要な抗体や試薬の購入、解析費用の使用に至らなかった。上記追加検討が終了後、予定の試薬を購入する計画である。
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Research Products
(4 results)