2018 Fiscal Year Research-status Report
乳癌における遺伝子多型の解明及び薬剤感受性とPrecision Medicine
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18K07328
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岡野 泰子 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (70438133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 靖史 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70254208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳癌 / 遺伝子多型 / 薬剤感受性 / エストロゲンレセプター / NRF2 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌の日本人の罹患率は、女性の臓器別の高いがん罹患率を占めており、特にエストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌は日本人女性の50才以下の割合は2000年代には87%に急激に増加している。しかしながら乳癌組織のER発現調節に関しては未だはっきりした分子指標は存在しない。本研究では、内因性の活性酸素(reactive oxygen species, ROS)や環境由来の毒性物質などにより誘発される酸化ストレスに対する細胞の適応応答の遺伝子多型NRF2遺伝子およびCYP2A6遺伝子に着目し、遺伝子多型とその関連因子との関係について検討した。方法は、理化学研究所で共同作成したプライマーを使用し、乳癌患者のDNA検体中においてNRF2遺伝子の-617C/AおよびCYP2A6遺伝子の欠損型(*4)アレルを検出した。 神奈川県立がんセンターの乳癌患者について、ホルモンレセプターが明らかな107例の乳癌患者を解析した。エストロゲンレセプター陽性群70%は陰性群30%とその割合は有意に高かった。乳癌患者におけるNRF2遺伝子多型の割合は、-617C/C 59例(55%)、-617C/A 42例(39%)、-617A/A 6例(6%)であった。CYP2A6の全欠損型変異遺伝子の*4/*4は107例中4例(3.7%)であった。NRF2(‐617A/A)をもつ6例において、ER(+)・PgR(+)をともにもつ症例は5例でありER(-)・PgR(-)と比較して有意に高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、理化学研究所において共同で作成したプライマーを使用し、乳癌患者のDNA検体中においてNRF2遺伝子の-617C/AおよびCYP2A6遺伝子の欠損型(*4)アレルを検出することができた。乳癌に関与する遺伝子多型の解析情報および詳細な臨床情報について年齢、組織型、T分類、N分類、臨床病期、ホルモン受容体の有無を解析し、遺伝子多型とその関連因子との関係について検討を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、コントロールの検体において遺伝子多型の解析を行い乳癌患者との比較も検討して行く。さらに患者においての抗がん剤への抵抗性、感受性についても遺伝子多型の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度、健常者の検体を用いて遺伝子多型の解析を行うためプライマーを作成し、解析に必要な試薬調整を行う予定であったが、解析が延長したため次年度に引き続き実施することとなった。
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Research Products
(2 results)