乳癌における遺伝子多型の解明及び薬剤感受性とPrecision Medicine

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K07328
• Research Institution: Yokohama City University
• Principal Investigator: 岡野 泰子 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (70438133)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 市川 靖史 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70254208)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 乳癌 / 遺伝子多型 / 薬剤感受性 / エストロゲンレセプター / NRF2

Outline of Annual Research Achievements

今年度、ER陽性乳癌患者257検体を使用し、遺伝子多型の解析および臨床情報と予後との関連性について検討を行った。
乳癌検体は、血清から抽出したcirculating DNAと白血球ゲノムDNAについてEprobe法を用いたNRF2キットにより比較解析し正確な感度を確認した。よってEprobe法により、血清中の微量DNAを正確に検出することができ、人工核酸を利用した蛍光プローブとリアルタイムPCR法を組み合わせることで、特定の遺伝子配列のコピー数や発現量、遺伝子多型解析を従来の方法に比較して正確に検出することが可能となった。
その結果ER陽性乳癌患者と正常健常人において、NRF2遺伝子多型の割合は、-617C/C 、-617C/A 、-617A/Aにおいて有意差を認めた。
抗酸化酵素の一つであるHO-1遺伝子については、(GT)n反復配列の多型解析を実施した。ER陽性乳癌患者と正常健常人からDNAを抽出し、これを鋳型としてシークエンス解析を行い(GT)n反復配列の多型性を3群に分類した。また、血清から抽出した微量DNAに関してもHO-1の遺伝子多型解析を行うことが可能となった。
CYP2A6遺伝子は乳癌患者に使用されている5-fuluorouracilのプロドラッグtegafurを含むTS-1による乳癌の化学療法の応答性・予後との関係を解析するために、CYP2A6遺伝子多型を検出する3種類のキットを検討した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

抗酸化作用に関わる遺伝子多型（NRF2、HO-1、CYP2A6）について、血清の微量DNAから解析することが可能となり、本研究課題の目的であるER陽性乳癌の抗がん剤の感受性と予後との解明は順調に進捗していると判断される。

Strategy for Future Research Activity

ER陽性乳癌患者におけるそれぞれの遺伝子多型およびデーターベース化された臨床情報・予後との関係性、予後規定因子、抗がん剤の感受性について詳細に解析し、論文化につなげていく。

Causes of Carryover

コロナの影響により、解析が遅くなったため。