2019 Fiscal Year Research-status Report
Repertoirome analysis of antibody genes of peripheral blood memory B cells for qualitative evaluation of tumor associated immune response
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18K07334
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
築地 信 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (90302611)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 免疫状態 / 抗体 / T細胞抗原受容体 / レパトア / 免疫記憶 / バイオマーカー / 末梢血 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、患者のゲノム情報を考慮した個別(プレシジョン)医療が推進されている。がん病態は、がん細胞の由来や遺伝子因子による個人差が大きく影響するために多様であり、それに対する免疫状態も多様である。次世代のがん治療法として免疫療法が注目されているが、治療が効果的であるか、治療を持続するかどうかの判断が難しいのが現状である。そこで、免疫状態を正しく評価する指標(バイオマーカー)を同定し、治療効果の評価系を確立することを目的として研究を進めている。 これまでに、マウスリンパ腫細胞株EL4およびE.G7-OVA細胞をマウスの皮下に移植することで作製した、担がんマウスモデルの末梢血を対象に、「抗体遺伝子レパトローム解析」を行った。がん移植前(0日目)とがん移植後、9日目と21日目に採取した末梢血から、FACSにてB220陽性細胞とCD4陽性細胞の存在比を測定し、経時変化を捉え、それらをセルソーティングにてシングルセルレベルに単離した。従来通りB細胞について、BCRsの重鎖と軽鎖の可変部領域の塩基配列をRT-PCR法にて増幅し解析した。今回は新たにCD4陽性T細胞について、T細胞抗原受容体(TCRs)のアルファー鎖とベータ鎖の可変部領域の塩基配列も同様な方法で特異的プライマーにて増幅することに成功した。現在までに遺伝子配列データが蓄積できている。このうち、9日目に変化があった可変部として、IGKV10, IGKV3-2, IGKV8, IGHV2-2, IGHV1-50, IGHV1-4, IGHV1-80, IGHV5-4, IGHV1-47, TRBV12, TRBV1, TRBV29, TRBV26, TRBV14が同定できている。 今後、更なる解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに体液性免疫の主役である抗体の質を評価するための「抗体遺伝子レパトローム解析法」を確立し、担がんマウスモデルの末梢血に対する解析を進めてきた。本年度は新たに末梢血T細胞の抗原受容体(TCRs)の可変部領域の塩基配列に対しても「T細胞抗原受容体(TCRs)遺伝子レパトローム解析法」を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、BCRsの重鎖と軽鎖、およびTCRsのアルファー鎖とベータ鎖の可変部塩基配列の解析を進める。V, D, J遺伝子断片の使用頻度、ペアリング、突然変異の位置と頻度、CDR3領域の長さや特徴的なアミノ酸配列を解析する。経時的に増加または減少していた特徴的な可変部をIgG定常部と融合し、人工抗体または人工TCR分子として、培養細胞にて発現させる再構築系を確立する。特に抗体は認識する抗原の同定も進める。これらが腫瘍の増加やがん治療実験による腫瘍の縮小に伴って、どう変化するか検証するための実験を計画する。
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Research Products
(2 results)