2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of therapeutic strategy targeting epithelial-mesenchymal transition and cell-fate determination factor for malignancy
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18K07335
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 清次 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (40333562)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉上皮転換 / 細胞運命制御 / 間葉系腫瘍 / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析で乳癌細胞株・膠芽細胞腫株においてshP1によるMET誘導が可能であり、MET誘導が癌細胞の増殖に与える影響は、乳癌と膠芽腫細胞で異なり、乳癌細胞の増殖は抑えないが抗癌剤に対する感受性を高めること、膠芽腫細胞の増殖を抑えることが判明している。さらに他の間葉組織由来細胞株におけるshP1によるMET誘導能力・増殖能力に対する影響を解析した。 間葉系細胞由来悪性腫瘍におけるshP1のMET誘導能力を、dual EMT/MET reporter導入骨肉腫細胞株 (HOS, SaOS2, U2OS)・滑膜肉腫細胞株 (1273/99, HS-SYII , SYO-1)におけるフローサイトメーターによるGFP/mCherry発現解析により評価した。またshP1の増殖能力に対する影響を2D, 3D培養における増殖能で評価した。すべての細胞株においてE-cadherinプロモーター活性の上昇を認めた。増殖能に対する影響は、細胞によって異なることが判明した。 血球細胞に対する上皮化誘導による影響をdual EMT/MET reporter導入K562白血病細胞株におけるフローサイトメーターによるGFP/mCherry発現解析により評価した。K562細胞においてもshP1によるE-cadherinプロモーター活性の上昇、形態変化が認められた。白血病細胞においてEMTプログラムがその増殖と分化に寄与していることが複数報告されていることと関連し、同定したMET誘導shP1・shH1は固形癌細胞のみならず血球系の悪性腫瘍に対する効果を有する可能性があり、今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当大学臨床検査学プログラム1期生の国試合格に向けた体制作り・国試対策講義等、教育業務に時間を割く必要があり、当初予定の研究活動に時間を配分することが困難になった。また前任地からの移動にあたり、Flowcytometer・DNA解析ソフトウエアの更新・整備に時間と経費を割く必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遅れの原因となった教育体制整備と勤務地の移動に伴う研究環境の変化にも対応しつつあり、徐々に研究に従事できる時間は確保されてきた。 2019年度は、2つの当初計画のうちの(a)に焦点を絞って研究を進めていく方針である。 (a)shH1の増殖抑制効果の作用機序の確認 H遺伝子機能喪失によるものか、shH1耐性H遺伝子cDNAによるレスキュー実験を行う。H遺伝子は、DNA修復に関わる遺伝子であり、DNA 修復経路の抑制がMETと合成致死効果を生み出す可能性がある。相同組換・ミスマッチDNA修復関連遺伝子の遺伝子編集による機能喪失、ヌクレオチド除去修復に関与するPARP1阻害剤が、METと相乗的に癌細胞の増殖を阻害するか、MET前後の癌細胞の増殖能を2D・3D培養にて解析・検討する。shH1単独或いはMETと相乗効果のある組み合わせについて、造腫瘍性に対する効果を、免疫不全マウスへの癌細胞の移植実験にて確認する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れているために当初の予算額を使用せず、体制が整う2019年度以後に回すこととした。また研究領域の情報を取得するためにアメリカ学会出張に使用した。
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