2018 Fiscal Year Research-status Report
Functional significance of default mode network in the human brain
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18K07347
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯高 哲也 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (70324366)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | fMRI / 眼球運動 / デフォルト・モード / 後部帯状回 / 感情伝染 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常被験者を用いて安静時fMRIと眼球運動の同時計測により、脳活動と眼球運動の関連について調べた。眼球運動はMRI専用の近赤外線を用いた装置(Live Track AV for fMRI, Cambridge Research Systems社製)により、固視点注視時に左眼より60Hzで計測測定した。健常被験者18名(男/女:12/6、年齢:21-26歳)を対象として実験を行った。fMRIデータはSPM12による前処理の後、眼球運動の急速成分を事象(event)とし、緩徐成分を共変量として一般線形モデルによる解析を行った。計測終了後に質問紙検査(自閉スペクトラム尺度、感情伝染尺度、対人関係反応尺度、相貌失認尺度)を行い、それらの得点と脳活動の相関(Pearson相関係数)を検討した。計測時のアーチファクトにより、統計解析には14名分(男9名、平均年齢22.7歳)のデータを用いた。その結果では、後部帯状皮質(posterior cingulate cortex:PCC)に急速眼球運動が生じると活動が低下する領域が認められた。また同領域の信号値変化と感情伝染尺度得点の陽性感情に有意な正の相関を認めた。この結果は意識が外界に向き急速眼球運動が誘発されると、同時にPCC(デフォルト・モード・ネットワークの一部)の活動が低下し脳がタスク・モードに切り替わると解釈することもできる。またPCCの変動が大きいほど陽性感情への応答性が高いことも示され、社会性・情動との関連も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
18名の被験者を用いた実験は終了し、予想された結果が得られている。データ解析プロトコールもおおむね確立することができた。本結果は予備的ではあるが、次年度の学会発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
眼球運動計測時にアーチファクトの混入が認められた。より安定したデータ収集を行うために、MRI室内外を結ぶコネクターの改造が必要である。この点を改修した上で、さらにMRI計測にマルチ・バンド法を導入して実験を継続する予定である。被験者数は20名程度を予定している。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた画像解析用ワークステーション(60万円相当)を、今年度は購入を見送ったことが大きな理由である。これは既存のワークステーションの機能が本研究を推進する上で十分であったことや、既存のデータを他のハードディスクへ移行したことが大きく貢献している。次年度の使用予定に本ワークステーションを加える可能性があるが、まだ未確定である。
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