2019 Fiscal Year Research-status Report
Functional significance of default mode network in the human brain
Project/Area Number |
18K07347
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯高 哲也 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 教授 (70324366)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 安静時fMRI / 眼球運動 / 覚醒 / 視床 / 瞬目 / 脳機能ネットワーク / マルチバンド |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に計測した被験者から得られた実験結果について、25th Annual Meeting of The Organization for Human Brain Mapping June 9-13, Rome Italyにおいてポスター発表を行った。題名は「Functional significance of resting-state fMRI in relation with fixational eye movement」であり、眼球運動を示す時系列データが後部帯状回の脳活動と関連していることを報告した。 一方で眼球運動データにノイズが多く含まれていることが分かったため、本年度は眼球運動計測装置に十分な接地を行い、新規に20名の健常被験者を用いた実験を行った。とりわけfMRIデータは、最新のマルチバンド撮像(TR=1s)で行うことができた点が重要であった。データ解析方法として瞬目、眼球運動、覚醒度の3つの成分に関する時系列データを、fMRIで計測された脳活動の時系列データと相関させることにした。瞬目は事象関連として扱い、眼球運動と覚醒度は共変量として用いた。 解析結果では、被験者の覚醒度を示す指標と脳活動との相関が強いことが分かった。すなわち覚醒度が高くなると、視床を中心とした皮質下領域の活動が亢進することが分かった。視床はヒトや実験動物において、意識や覚醒水準と関連性が深い構造物であることが知られている。従って本研究結果は、このような視床が持つ生理的機能を反映した結果であると推測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に行った実験結果は予備的なものであったが、学会発表を行うことができた。今年度はデータに含まれるノイズを除去するための接地を強化することで、より安定した眼球運動データを計測することが可能になった。加えてfMRIに最新鋭のマルチバンド撮像(TR=1s)を使用することができた点が、昨年度と比べて技術的に進歩した点である。20名の新規な被験者を用いた実験を終えており、データ解析でも良好な結果が得られている。以上の点から、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに取得しているデータを元に、さらにデータ解析の水準を深めていく。それにより眼球運動と覚醒度が、ヒトの安静時脳機能ネットワークに与える影響について解明していく。その成果の一部については、次年度内に国際学会で成果発表を行う予定である。また国際的英文専門誌へ投稿するための準備を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
予算はほぼ使い切っており、わずかな残額のため次年度に繰り越す予定である。
|