2020 Fiscal Year Research-status Report
交流電気刺激を用いた眼球運動制御における神経オシレーション活動の因果的役割の検証
Project/Area Number |
18K07350
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
横山 修 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主任研究員 (60455409)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 注意 / サル / 脳電気刺激 / 補足眼野 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、サルが視覚刺激に固視を継続しながら視覚的注意を左または右に向けている最中に、脳に交流電気刺激を与え、急速眼球運動が誘発されるかを調べた。刺激部位は眼球運動関連領域である前頭葉の補足眼野とした。電気刺激のパラメーターは333ヘルツ、約200マイクロアンペア、刺激時間は約0.72ミリ秒とした。自由に眼球運動を行っている最中にこのパラメーターで刺激をした場合には、補足眼野内の刺激位置によらず、刺激した脳半球と反対側方向に急速眼球運動が誘発されることを予め確認した。固視中に同じパラメーターで刺激をした場合には急速眼球運動は誘発されなかった。しかし、平均0.1度程度の眼球の微小な変位が認められた。この変位は刺激開始後約0.2秒後から始まり、マイクロサッカードのような急速な眼球運動ではなく、緩やかな変位であった。また、大部分の刺激位置では、変位方向は刺激した脳半球と反対側であり、そのときに向けていた視覚的注意の方向とは無関係だった。以上の結果より、眼球関連脳領野の電気刺激による急速眼球運動誘発効果は固視中に抑制されたが、高周波電気刺激によって眼球の緩やかな変位が誘導されることを示した。眼球の緩やかな変位は、急速眼球運動の生成とは異なる神経機序によることが示唆された。固視中はベータ帯域(20~30ヘルツ)の神経オシレーション活動が増大することから、ベータ活動と高周波電気刺激の相互作用が、眼球の緩やかな変位と急速眼球運動の生成に異なる影響を及ぼすと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通り電気刺激実験を遂行したが、データ解析、および異なる条件を用いた実験が完了していない部分があり、成果発表が本年度中に間に合わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
交流電気刺激がその後の注視ターゲットの選択に及ぼす影響を調べる実験を行い、これまで得られた、注視に及ぼす影響の結果と併せて成果を発表する。
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Causes of Carryover |
電極の購入や、成果を発表するための費用として使用する計画であった。しかし、電極はすでに保有していたもので足りたので購入する必要がなかった。また、作成中であった論文に新たに得られたデータを加えることにしたため、当該年度中に投稿まで至らず、論文発表のために確保していた額を持ち越すことにした。 次年度に、主に成果を発表するための費用として使用する予定である。具体的には、国内学会における発表のための参加費・旅費、欧米の国際誌に論文を発表するための費用(英文校閲費、出版料)として使用する。
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Research Products
(1 results)