2019 Fiscal Year Research-status Report
前頭連合野によるマウス痛み情動伝染制御の神経機構の解明
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18K07355
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
野元 謙作 麻布大学, 獣医学部, 特任助教 (30786976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マウス / 帯状回皮質 / 恐怖反応 / 情動 / 社会行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、行動実験、ファイバーフォトメトリー実験、薬理遺伝学による前部帯状皮質(ACC)不活性化実験を行った。 まず行動実験として、C57BL/6J、MSM、B6MSMF1の3系統に対して、情動伝染の行動実験を行い、フリージングの程度がMSM>B6MSMF1>C57BL/6Jの順であることを見出した。ファイバーフォトメトリー実験については、細胞種・経路非特異的にマウスACCニューロンにカルシウム感受性蛍光タンパク質GCaMP6sを発現させ、観察恐怖中のマウスよ り神経活動記録実験を前年度より実施している。今年度個体数を追加し、N=8個体とした。他個体マウスがフットショックを受け、痛み情動を表出した時にACCニューロンが活性化していることを見出した。最後に薬理遺伝学によるACC不活性化実験については、経路特異的実験の前に経路非選択的実験を行った。具体的には、ACCにCreをコードしているアデノ随伴ウイルス(AAV)と薬理遺伝学タンパク質hM4D(Gi)をコードしているAAVを混注し、CNOを腹腔内注射した60分後に行動試験を行った。対照群として、蛍光タンパク質をコードしているAAV注入し、CNOを注射した群を使用した。行動実験として、通常の情動伝染試験、音による恐怖条件づけ試験、オープンフィールド試験、本能的な忌避物質である2MT曝露試験を行った。まだ個体数が不十分であるが、ACCの不活性化は情動伝染によるフリージング行動を減らし、他の行動試験には影響を与えないという予備的な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動実験、ファイバーフォトメトリー実験に関しては、順調に進んでいる。薬理遺伝学実験に関しては、当初の計画では経路特異的な薬理遺伝学的神経活動操作実験から行う予定であったが、今年度は経路非特異的な薬理遺伝学実験を先に行った。当初の予定より多様な行動試験でACC機能を評価することができたため、進捗としてはやや遅れているが、結果的には実験結果がより頑健になったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
経路非選択的な薬理遺伝学実験の個体数を増やし、実験を終了させる。さらに経路選択的な実験を行う。得られた結果を学会発表、論文化していく。
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Causes of Carryover |
日本生理学会大会が新型コロナウイルスにより誌上開催となったため、予定していた旅費を執行しなかった。繰越金額については次年度の消耗品費として使用する。
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