2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of physiological and pathological roles of TDP-43 through autophagic machinery
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18K07364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 唯史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (30334337)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉型変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、筋萎縮性側索硬化症及び前頭側頭葉型変性症の病因タンパク質TDP-43による神経毒性発揮機序の解明を目指し、特にオートファジの関与に焦点を当て、次の3点について研究を遂行している。 1.TDP-43によるオートファジー制御機構の解明。マウス神経芽細胞腫Neuro-2aを用い、TDP-43をノックダウンしたところ、オートファジー開始因子ULK1のタンパク量が減少することを見出した。この減少は、野生型TDP-43の発現により回復するが、RNA結合領域を欠損したTDP-43の発現では回復せず、また遺伝子編集によりTDP-43と結合領域を欠いたUlk1遺伝子を発現するNeuro-2a細胞では減少の程度が乏しかった。これらの結果からTDP-43はUlk1 mRNAと結合してその発現を制御する可能性が示唆された。 2.TDP-43がオートファジーを介して神経毒性を発揮する機序の解明。In vivoレベルでTDP-43の毒性を評価するため、アデノ随伴ウイルスを用いたAAV9-TDP-43発現系を作出した。P0マウス側頭静脈よりAAV9-TDP-43を感染させたところ、TDP-43は大脳、海馬、脊髄運動ニューロン等に発現し、rotarodテストで進行性の運動機能障害を呈することが明らかとなった。 3.TDP-43プロテイノパチーにおいてTDP-43が異常性を獲得する機序の解明。TDP-43、CREST、FUSを複眼に過剰発現することにより、複眼変性を呈するショウジョウバエを用い、ストレス顆粒の代謝に影響を与えるataxin2の欠損ショウジョウバエと交配させたところ、TDP-43、CRESTの毒性は回復させるが、FUSは回復させないことを見出した。この結果は、TDP-43プロテイノパチーの下流でストレス顆粒が重要な役割を果たしている可能性を示唆するものであり、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではTDP-43の神経毒性発揮機序の解明を以下の3点について焦点をあて検討を行っている。 1. TDP-43によるオートファジー制御機構の解明。初年度培養細胞系においてTDP-43がUlk1 mRNAとの相互作用を介してオートファジー活性を制御することを見出し、TDP-43のオートファジーの相互作用を明らかにしたことから、おおむね順調に進んでいると考えられる。 2. TDP-43がオートファジーを介して神経毒性を発揮する機序の解明。初年度、神経毒性を評価するAAV9-TDP-43発現マウスの作出に成功した。しかし、その分子機序を解明するための各種変異型TDP-43の作出が遅延し、研究進行が計画よりやや遅れていると言える。さらに研究の加速が必要である。 3. TDP-43プロテイノパチーにおいてTDP-43が異常性を獲得する機序の解明。初年度にTDP-43プロテイノパチーとFUSプロテイノパチーの比較から、TDP-43の毒性にAtaxin2によるストレス顆粒制御が関与することを見出した。この結果を踏まえさらに1.で作出した培養細胞実験への展開も期待され、当初の計画以上に進んでいると言える。 これらの理由から本研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. TDP-43によるオートファジー制御機構の解明。初年度の結果を踏まえ、各実験項目について以下の通り研究を遂行する。 TDP-43によるUlk1 mRNAを介したオートファジー制御の分子機序解明、そしてTDP-43による神経毒性発揮機序解明のため、樹立した培養細胞系において、TDP-43によるUlk1 mRNA制御の分子機序の解明を行う。さらに培養細胞系においてストレス顆粒形成実験を行い、TDP-43―ULK1軸がストレス顆粒形成に与える影響を明らかにする。 2. TDP-43がオートファジーを介して神経毒性を発揮する機序の解明。初年度樹立したAAV9-TDP-43発現実験系を用い、RNA結合能を欠損したTDP-43と比較することにより、その神経毒性発揮機序を生化学的・免疫組織化学的に明らかにする。 3. TDP-43プロテイノパチーにおいてTDP-43が異常性を獲得する機序の解明。 初年度新たにTDP-43毒性の下流にAtaxin2が関与することを見出した。Ataxin2はストレス顆粒のターンオーバーに関与することから、TDP-43毒性へのストレス顆粒関与を培養細胞、in vivoレベルで検討し、さらにストレス誘導時にTDP-43の相互作用分子を網羅的に明らかにして、TDP-43がストレス顆粒へ移行する機序を解明する。
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Research Products
(10 results)