2019 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞活動及びドパミン放出動態解析によるパーキンソン病運動合併症の病態解明
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18K07374
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70286714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 明日香 順天堂大学, 医学部, 助教 (40812459)
岩室 宏一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80384775)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ジスキネジア / 淡蒼球内節 / 単一神経細胞活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)ジスキネジアモデルラットを作成するとともに代謝型グルタミン酸受容体拮抗薬(MTEP: 3-[(2-methyl-1,3-thiazol-4-yl)ethynyl]-pyridine)投与を行うことで行動実験においてジスキネジアの治療が可能であることを示した。対照群、ジスキネジア群、MTEP群において運動野皮質に電気刺激を加え、脚内核(EP: endopeduncular nucleus)での単一神経細胞活動記録を行った。手法としては野生型Wistarラットの片側のmedial forebrain bundleに2μg/μlの6-hydroxydopamineを投与し、片側PDモデルラットを作成した。手術2週間後に0.05mg/kgのapomorphineを皮下注射し、投与15分後から5分間において20回以上回旋したラットをPD病モデルラットと判断した。ジスキネジア群では14日間L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-dopa) 25mg/kg、Benserazide 6.25mg/kgを1日1回腹腔内投与し、対照群では同量の生理食塩水を1日1回腹腔内投与した。MTEP群ではL-dopa/Benserazide投与の20分前にMTEP 5mg/kgを腹腔内投与した。薬剤投与開始から2,5,9,12,14日目にAIM scoreを用いてジスキネジアを評価した。15日目は薬剤を投与せず16日目には両群にL-dopa/Benserazideのみ投与した。MTEP群では全ての測定日でAIM scoreがジスキネジア群と比較して有意に低かった。これらのラットに対してヘットチャンバーを取り付け、大脳皮質運動野に刺激電極を、EPに記録電極を挿入し、単一神経細胞活動応答を確認した。対照群では皮質の刺激に対する興奮-抑制-興奮の3相の波形が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、安定したモデル動物の作成及び電気生理学的神経細胞活動の記録が可能となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はジスキネジア群およびMTEP群において神経活動記録を行うことでジスキネジアの電気生理学的機序を解明するとともにMTEPによるジスキネジア治療効果を電気生理学的に証明する予定である。さらに、遺伝性PDの中には、比較的早期から下肢に強いジスキネジアを呈するPARK2(Park2 gene)やPARK6(Pink1 gene)、孤発型PDに類似した臨床型でジスキネジアを呈するPARK7(Park7 gene)やPARK8(Lrrk2 gene)が知られており、これらの原因遺伝子のノックアウトラットにおけるジスキネジアも併せて解明し、孤発型PDと各遺伝性PDにおけるジスキネジアの電気生理学的な共通点および相違点を明らかにする。
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Causes of Carryover |
使用予定であった動物の購入に時間を要したため、物品費が予定より少なくなった。
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