2020 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞活動及びドパミン放出動態解析によるパーキンソン病運動合併症の病態解明
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18K07374
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 教授 (70286714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 明日香 順天堂大学, 医学部, 助教 (40812459)
岩室 宏一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80384775)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ジスキネジア / 淡蒼球内節 / 単一神経細胞活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に安定して作成することができたパーキンソン病(PD)のジスキネジアモデルラット(n=19)及びジスキネジアモデル作成過程で代謝型グルタミン酸受容体拮抗薬(MTEP:3-[(2methyl-4-thiazolyl)ethynyl)pyridine])を投与し、ジスキネジアの発現を抑制したジスキネジア抑制モデルラット(n=13) を用いて、運動皮質野にエポキシコーティングしたタングステン電極を留置し、電気刺激を行った。刺激は1回あたり200μSの刺激時間で、刺激強度はラットの前脚が刺激によって運動が誘発される強度で行った。1回の刺激ごとに脚内核(EP:Entopeduncular nucleus) からの単一神経細胞外電位を記録して、100回の刺激に対する応答を記録し、ジスキネジア発現の病態生理について検討を行った。コントロール群として生理食塩水腹腔内投与群(n=4)と、6-OHDAを腹腔投与したPDモデル群(n=9)を作成し比較対象とした。その結果PDモデル群では、生食投与群と比較してEPの平均発火頻度が上昇し、運動皮質刺激に対する興奮ー抑制ー興奮の応答がより明確になったが、ジスキネジアモデル群では、PDモデル群や生食投与群と比較して平均発火頻度の減少及び、刺激に対する応答が不明瞭となった。MTEPの投与によってジスキネジアの発現を抑制したラットでは、PDモデルラットと同様の変化を示した。これらの事から、ジスキネジアの発現機序として、EPの皮質刺激に対する興奮性の低下が関与している可能性が示唆され、またMTEPは病態生理学的にもジスキネジアの発現抑制に有効であることが示唆された。今後は実験動物数を増やすことによって、この知見の確認を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、コロナ禍による実験室利用の制限があり、また実験動物の入手スケジュールにも支障をきたしたため、継続的な実験が困難であった。さらに実験室の移転もあり、単一神経細胞活動電位を安定して記録するための環境を整える事に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の実験を継続し、実験動物数を増やしてゆく予定である。さらに当初の計画のように、PARK2 モデルラットを使用して同様の実験を行い、PDモデルラットとの違いを調べることによって、パーキンソン病と遺伝性パーキンソン病の病態生理の違いを見出してゆく予定である。
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