2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07378
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
萩原 英雄 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 講師 (80514504)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 精神疾患モデル動物 / 脳内中間表現型 / pH |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症やうつ病など様々な神経精神疾患の病態モデルマウス、モデルラットの脳pHの測定、および組織pH変化の主な要因のひとつと考えられているラクテートの濃度測定について、データの蓄積を行った。これらのモデル動物には、遺伝子改変動物や各種の実験的操作を施した動物などが含まれ、自身で作成したものと共同研究者から譲渡いただいたものが含まれる。脳pHおよびラクテート濃度が増加、あるいは減少しているモデル動物が複数種類見つかってきている。 また、この脳pHおよびラクテート濃度の変化の行動レベルでの機能的意義の推定を試みている。これまでに脳pHおよびラクテートの測定に用いたモデル動物の系統について各種行動テストのデータを収集し、それらの行動テストのデータから計算論的に脳pHあるいはラクテート濃度の予測モデルが構築できるかどうか検討している。プレリミナリーな結果であるが、脳内ラクテート濃度と各種の行動指標との関係性について示唆的なデータが得られてきている。 さらに、脳pHおよびラクテート濃度の変化のコアとなる脳領域の推定を試みている。上述した、脳pHおよびラクテート濃度の変化が再現性よく検出できる実験的操作について、海馬や扁桃体、線条体などの各脳領域を分けてDNAマイクロアレイ解析を行っているデータを公的データベースより取得し、バイオインフォマティクス解析を行った。その結果、ラクテート増減の要因のひとつと考えられる神経活動のマーカー分子や、ラクテートの代謝に関わる分子の発現が特定の脳領域で生じていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳pHの操作方法について、pHおよびラクテート濃度の変化を再現性よく誘導できる実験的操作を特定できつつあるなど、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳pH変化の当該モデルにおいて、神経活動マーカー分子やラクテート合成酵素分子のタンパク質レベルでの発現変化が生じている脳領域を絞り込むなどして、脳のどの領域・回路が脳pH変容と関連しているのか推定する。
|
Causes of Carryover |
上述の通り、pHやラクテート変化を示すモデルマウスの探索、およびin silico解析を中心に行い、抗体等の分子発現解析用の試薬の購入頻度が低かったため。免疫組織染色などによりpH、ラクテートの変化に伴う詳細な分子発現解析を次年度に行う。
|
Research Products
(1 results)