2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07383
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
渡邉 淳 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 共同利用推進室, 室長 (90321843)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / バイオマーカー / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中タンパク質の変動を解析するために、本年度は比較的量に余裕があるアルツハイマー病患者と健常者の血漿を用いて、安定同位体の質量数18の酸素を用いたプロテオーム変動解析を試みた。血液の網羅的解析でマーカー候補となるタンパク質の同定率を上げるには、血液中のおよそ9割近いアルブミン等の主要なタンパク質を分離することが必要不可欠であり、これらを前処理で分離することによって、微量タンパク質の同定を試みた。具体的には、アルブミン、トランスフェリン、ハプトグロビン、IgG、IgA、α1-アンチトリプシン、フィブリノゲン、α2-マクログロブリン、α1-酸性糖タンパク質、補体タンパク質C3、IgM、アポリポプロテインAI、アポリポプロテインAII、トランスサイレチンといった主要な14種類のタンパク質の抗体が固定化されたアフィニティーカラムを用いて、液体クロマトグラフィーでこれらの分離を行った。素通り画分と吸着した画分に分けた後、各々の画分はそれぞれ直接トリプシンで消化を行った。健常者の血漿に関しては消化物を乾固した後に質量数18の酸素を持つ水とトリプシンを加えることで、カルボキシル基の二つの質量数16の酸素が質量数18の酸素へと置き換えられ、質量数が4増えることを確認し、アルツハイマー病患者の血漿に関しては通常の水を用いた操作のままで、最終的にこれらを等量混ぜ、質量分析装置で解析し、ペプチドの量比の比較が可能となった。さらに、網羅的解析でマーカー候補となるペプチドの同定率を上げるために、液体クロマトグラフィーでのカラムの選択や流速及びグラジエント等のパラメーターの条件検討を行い、解析方法の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初安定同位体の質量数18の酸素を持つ水を用いたプロテオーム解析を予定であったが、新たなタンパク質解析ソフトを導入した結果、安定同位体等のラベル化が必要でないLabel-free quantification (LFQ) 解析によってタンパク質の定量化が可能となった。そこで、これらの解析方法についても検討するために時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した解析方法を用いて、まず、バイオバンクから提供して頂いたアルツハイマー病患者20例及び認知機能正常者20例の血漿タンパク質の網羅的プロテオーム変動解析を試みる。検体は男女比、年齢層を出来るだけ合わせた症例を用い、ADの危険因子ApoE4も偏りがない検体で解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた質量分析装置を用いたプロテオーム解析の数が少なかったため、解析に要する消耗品の購入が少なかった。今年度解析出来なかったサンプルは次年度に解析することを予定している。
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Research Products
(1 results)