2018 Fiscal Year Research-status Report
The involvement of neural stem cells in promoting elimination of pain-fear memory by lamotrigine
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18K07390
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小山 なつ 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50135464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 美保 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40382048)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラモトリギン / 気分安定薬 / ニューロスフェアアッセイ / BrdU / 神経新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラモトリギンは気分安定効果のある新規抗てんかん薬であり、抗てんかん薬はしばしば痛みの緩和にも使われる。ラモトリギン長期投与による神経新生効果を in vitroとin vivoで解析した。in vitroの解析ではニューロスフェアアッセイ、in vivoの解析ではBrdUの解析実験を行い、共に自己複製能の亢進および、神経新生の亢進が認められた。
1. ラモトリギンの神経新生効果のin vitroでの解析 成体マウスの脳室下帯の浮遊培養であるニューロスフェアアッセイにより、神経幹細胞/神経前駆細胞の増殖を評価した。バルプロ酸やカルバマゼピンなどの抗てんかん薬と同様に、ラモトリギンは用量依存性に細胞塊の増殖の亢進がみとめられた。しかも毒性効果がある高用量では亢進がみられなかった。また他の新規抗てんかん薬では、細胞塊の増殖の亢進が認められなかった。以上の結果からラモトリギンには自己複製能、および細胞増殖を上昇させる効果があると示唆された。 2. ラモトリギンの神経新生効果のin vivoでの解析 ブロモデオキシウリジン(BrdU)はチミジンのアナログであり、細胞周期の S 期において新たに合成された DNA に取り込まれので、増殖細胞数が評価できる。ラモトリギンを腹腔内に長期投与したマウスにBrdUを注入(5回/日)し、凍結連続標本を作製し、BrdU陽性細胞数をカウントした。ラモトリギン長期投与マウスで、海馬歯状回および脳室周囲にBrdU陽性細胞が多くみとめられ、神経新生の亢進が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラモトリギンは脂溶性が高いため、適切な用量をニューロスフェアアッセイや腹腔内投与のための溶液調整に苦難したが、安定して投与する方法が確立された。今後、溶液以外の投与法についても検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 引き続きラモトリギン長期投与のマウスにBrdUの注入実験を行い、幹細胞マーカーや神経やグリアマーカーによる2重染色を行い、増殖細胞がニューロンに分化するのか、グリアに分化するのかなどの評価も行う。
2. 行動実験により、ラモトリギンの長期投による情動や痛み関連記憶が変化するかどうかを確認する。オープンフィールド、プレパルスインヒビションテスト(PPI)、ソーシャルインターラクションテスト、恐怖条件付けテストなどを行う予定である。
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Causes of Carryover |
ラモトリギン投与のための溶液調整に時間がかかったため、免疫組織学的実験が少ないためと、運動量測定のためには簡易的な装置を検討することができたため、今年度の予算の一部を翌年に使用する。
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