2019 Fiscal Year Research-status Report
恒常的活性化型受容体GPR3のシナプス形成への影響と新規神経回路再生療法への応用
Project/Area Number |
18K07392
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 茂 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (20512651)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 直永 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 研究員 (70363190)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | GPR3 / 神経細胞 / プレシナプス / PKA / cAMP / PC12細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、恒常的Gs活性化型G蛋白共役型受容体GPR3の中枢神経系における機能について検討を続けており、これまでにGPR3が神経細胞生存・分化に寄与することを明らかにしている。最近、小脳顆粒神経細胞においてGPR3が神経突起先端に集積し、突起先端のPKA活性化に寄与することを解明した。以上の背景を踏まえ、本研究ではGPR3の神経細胞におけるシナプス機能に与える影響を検討し、中枢神経障害に対する新規再生療法へ応用を模索することを研究目的としている。本年度までに、神経細胞分化に伴うGPR3発現誘導がシナプス蛋白の一つであるシナプシン発現やリン酸化に与える影響についてPC12細胞を用いて検討した。PC12細胞を血清減少とNGF添加により分化させると、分化刺激12~48時間後で GPR3mRNA発現上昇を認めた。また、PC12細胞においてGPR3-GFP融合蛋白は神経突起先端方向に運ばれ突起先端に集積し、神経突起先端部位でシナプシン1、シナプシン2と共局在した。また、PC12分化に伴うシナプシン発現については、シナプシン2 mRNAは刺激後48時間後まで発現上昇したが、シナプシン1、シナプシン3 mRNAの発現量は低下した。さらに、shRNAによりPC12細胞分化に伴うGPR3発現を抑制すると、分化24時間、48時間後においてシナプシン2mRNA発現が有意に減弱し、シナプシン2蛋白リン酸化についても減弱傾向を認めた。一方、PC12細胞分化に伴うGPR3発現抑制により、Extracellular Signal-regulated Kinase (ERK)リン酸化についても減弱傾向を認めた。以上の結果から、GPR3は神経細胞分化に伴い発現が増加し、シナプシン2発現やシナプシン2、ERKリン酸化に影響を与えることにより、プレシナプス機能を修飾する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画では、神経細胞におけるGPR3発現がシナプス形成・維持に与える影響について、in vitroの検討では当初の目的通り研究が進んでいる。また、in vivoで評価のための視神経軸索損傷モデルについても、並行して実験モデルの立ち上げを行っている。一方、初代培養海馬神経細胞を用いた検討は本年度検討できず、次年度に持ち越して検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、GPR3発現がプレシナプス機能に与えるダイレクトな影響について検討するため、PC12細胞においてGPR3発現がドパミン取込や放出に与える影響についてさらに検討する。さらに、in vivoにおいてGPR3発現がシナプス機能における役割について解明をすすめる予定である。
|
Research Products
(18 results)