2019 Fiscal Year Research-status Report
鼻腔炎症に連動した嗅球投射ニューロンの変性と神経回路再生を決定する脳微小環境
Project/Area Number |
18K07395
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
石井 さなえ 杏林大学, 保健学部, 准教授 (40435863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鼻腔炎症 / うつ的行動 / 性差 / 嗅覚神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性的な鼻腔炎症が脳組織微小環境を変動し、行動の異常をもたらす可能性を検討するため、C57BL/6Jマウス(8週齢、雌雄)の両側鼻腔に生理食塩水もしくはリポ多糖を週に3回投与し、投与開始から2週間後と8週間後に行動を計測した。行動は、オープンフィールドで運動量、立ち上がりの回数、中央部に行く回数と滞在時間、糞の個数、尿の回数、毛づくろいの回数を計測し、基本的な活動量を測定した。尾懸垂と強制水泳では不動時間を計測し、ショ糖嗜好試験では、飲料水のうち1%ショ糖水を飲む割合を計算した。すべての行動実験が終了した9週間後に、マウスを灌流固定するか、新鮮組織を採取した。投与開始からと殺までの間、週に1回体重を測定した。 投与開始から2週では、すべての行動に雌雄差、鼻腔炎症の効果は見られなかった。投与開始から8週では、雄の鼻腔炎症マウスでオープンフィールド試験中に立ち上がりの回数が有意に増加するという結果が得られ、不安様行動を示す可能性が考えられた。すべてのマウスにおいて9週の間に体重は増加したが、慢性鼻腔炎症マウスだと体重の増加が有意に少なかった。その現象は雌では投与1週目から、雄では投与2週目から現れた。投与9週間後に採取した回盲便を用いて、腸内細菌叢のメタゲノム解析を行った。その結果、慢性鼻腔炎症により腸内細菌叢が変動すること、変動パターンは雌雄で異なることがわかった。 これらのことから、慢性鼻腔炎症が鼻腔や嗅球を超えて、より高次の脳組織を変化させること、さらに腸内細菌叢の変化を介して全身性に影響を及ぼす可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性鼻腔炎症マウスにおける行動実験を一通り行うことができ、固定組織、新鮮組織のサンプリングがすべてできた。また、当初計画していなかった腸内細菌叢解析も行い、結果を得ることができたので。
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Strategy for Future Research Activity |
①論文を作成し、発表する。 ②慢性鼻腔炎症マウスの海馬や大脳皮質などで、遺伝子発現の変動パターンを網羅的に調べる。 ③慢性鼻腔炎症マウスの海馬や大脳皮質などにおけるサイトカイン量を調べる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Theanine, the main amino acid in tea, prevents stress-induced brain atrophy through modifying early stress responses.2020
Author(s)
Unno K, Sumiyoshi A, Konishi T, Hayashi M, Taguchi K, Muguruma Y, Inoue K, Iguchi K, Nonaka H, Kawashima R, Hasegawa-Ishii S, Shimada A, Nakamura Y.
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Journal Title
Nutrients
Volume: 12
Pages: 174-
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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